「来て,私の弟子になりなさい」という題名のエホバの証人の本があります。この本には、イエス・キリストの本当の弟子になるにはどうすればいいのかが書いてあります。この題名は、イエスがある男性に語った言葉から取られていて、英語では、「Come Be My Follower」です。
この「Come Be My Follower」は、「わたしのフォロワーになろう」とも訳せます。これは、SNSで自分の考えや気持ちを発信する人たちがよく使う言葉です。
もちろん、イエス・キリストもエホバの組織もSNSを使っていません。では、SNSで発信する人たちは、どういうつもりでイエス・キリストと同じことを願っているのでしょうか。
SNSで使われている言葉
SNSを多くの人が使うようになったので、SNSでの言葉がどこでも使われるようになりました。
この記事ではSNSで使われている言葉をいくつか取り上げます。
でも、本当は、SNSでの言葉を正しくわからないとしても、大きく困ることはありません。SNSそのものが変わっていくので、この記事に出てくる言葉も、意味が変わったり、使われなくなったりするかもしれません。
それで、この記事で出てくる言葉の意味をきっちり覚えるよりも、その言葉をどういう気持ちで使っているかをわかるようになりましょう。
フォロワー
レストランなどでは、何度も来てくれる常連のお客が大切です。いつもお店に来てくれて、新作メニューを試食してもらったり、はっきり感想を聞けたりします。
SNSで発信する人にとって、いつも自分の発信を見てくれる人は、ありがたいものです。いつも自分の発信を見てくれる人は、自分の考えや気持ちをわかってくれて、応援してくれるからです。そういう人たちのことをフォロワーといいます。
SNSを収益化してお金を稼いでいる発信者にとっては、フォロワーが増えるのが何より大切です。フォロワーになってくれた人がまずSNSを見てくれるからです。それで、まだフォロワーになっていない人に、「わたしのフォロワーになろう、いや、なってください」とお願いしたくなります。
SNSで誰かの発信を見ている側も、フォロワーになると、その発信者の新しい発信にすぐに気づけるようになります。
ワンポイント-誰をフォローする?
フォロワーは、フォロー(Follow)する人という意味です。フォローするというと、「支える」とか「見守る」のようなイメージですが、「ついていく」とか「従う」という意味もあります。イエス・キリストのフォロワーは、イエスの手本にしっかりついていく弟子になることです。
あなたが、誰かSNSの発信者をフォローすると、その発信者が新しい発信をするたびにコンピューターにお知らせが届くようになります。YouTubeの[チャンネル登録]も、フォローと同じです。
あなたが誰かSNSの発信者をフォローすると、その発信者の考えや気持ちをいつも見ることになります。そうすると、あなたも考え方や言葉遣いが似てくるようになり、まるでその発信者の弟子になります。
SNSで、誰かをフォローしていても、その発信者の考えや言葉遣いが自分とは合わないと感じたら、フォローを解除できます。
SNSで誰をフォローするかで、あなたの考え方や生き方は大きな影響を受けるかもしれません。
バズる
SNSは、自分の考えや気持ちを発信する人もいれば、特技や動物のことを発信する人もいます。
何気ない発信が、急に注目を集めることもあります。SNSは世界中の人が使っているので、急に世界中の人が見てくれます。
SNSで、注目されて話題になることをバズるといいます。バズ(Buzz)はもともと、ハチなどの羽音のことです。
ワンポイント-バズるのと炎上するのは何が違う?
バズるというのは、ほめ言葉や同じ気持ちで、みんなが盛り上がることです。
意見がぶつかったり言い合いになったりすることは、「炎上する」といいます。
SNSでバズる話題でも、炎上する話題でも、SNSをしていない人にとっては、なぜ盛り上がっているのかわからないことがあります。
インスタ映え
インスタグラム(Instagram)は、写真を発信するSNSです。日常を写真にして発信すれば、その時の考えや気持ちを伝えられます。
でも、多くの人に見てもらえる写真にするために、性能の高いカメラを使って、美しく撮影しようとする人もいます。インスタグラムに発信するために、きれいな「映える」写真を撮ろうとすることをインスタ映えといいます。
インスタグラムに写真を発信することが何より大切になってしまう人たちがいます。インスタ映えする写真を撮るために、美しい景色のところに出かけたり、めずらしいものを探したりします。
そういう人の中には、立ち入り禁止のところに入り込んでまで写真を撮ろうとする人や、食べきれないほどの料理を写真に撮るために注文する人もいます。
また、みんながうらやましがるような生活の写真を発信していても、本当は借金している人もいます。一度でも、うらやましいと思われると、お金がなくなっても、うらやましがらせる発信を続けたくなるからです。
インフルエンサー
SNSは世界中の人が使っています。自分の考えや気持ちを発信すると世界中の人が反応します。
SNSで、たくさんの人に影響を与える人のことをインフルエンサーといいます。インフルエンサーには何万人もフォロワーがいて、何か発信すればすぐに反応します。さらに、フォロワーが他の人にも広めていきます。
インフルエンサーという言葉は、病気のインフルエンザと、もとになる言葉は同じようです。もとになる言葉は「影響する」という意味です。
ワンポイント-ファクトチェックはなくなる?
インフルエンサーが、正しいことを発信してくれれば、たくさんの人に良い影響を与えます。例えば、被災地に寄付しようとか、町のゴミ拾いに参加しようなどと発信すると、フォロワーは同じことをしようとします。
しかし、正しくないことを発信するインフルエンサーもいます。嘘や、ねじ曲がったことや、危険な考え方を発信します。
SNSには、ファクトチェックという間違った情報をチェックする機能があります。
でも、これからファクトチェックはなくなっていくようです。ねじ曲がった危険な発信も「1つの表現」だと考えられるからです。絵を描くことや小説を書くことを考えてみましょう。絵には、事実ではないことを描けます。小説も頭の中で作った物語を書けます。同じように、SNSも、事実ではないことや頭の中で考えついたことを発信できます。
間違ったことを発信するインフルエンサーは、病気のインフルエンザのように悪い影響を世界中に与えることになります。
ハッシュタグ
SNSには、たくさんの発信があります。政治的なことから、かわいい動物のこと、毎日のちょっとした気持ちや、専門的なことまで、発信の種類もいろいろあります。
ハッシュタグは、いろいろな発信の中から探しやすくする目印のようなものです。
例えば、次のような4つの発信があるとします。
- 隣の家の犬が早朝にほえて起こされる。毎朝眠い。
- 朝早く公園に行くと、イチョウの葉が黄色一色に。
- うちのワンちゃんに銀杏のにおいをかがせたら、変顔した。
- カーテンを開けると、向かいの人と目が合う。毎日気まずい。
4つの発信は、苦情もあれば、面白いものもあります。ここで、1つ1つの発信にどんなことが関係しているかを考えて、キーワードを書き出してみましょう。
- 隣の家の犬が早朝にほえて起こされる。毎朝眠い。は、
ご近所トラブル
犬
早朝
というキーワードが書き出せます。 - 朝早く公園に行くと、イチョウの葉が黄色一色に。は、
秋
早朝
イチョウ
というキーワードになります。 - うちのワンちゃんに銀杏のにおいをかがせたら、変顔した。は、
犬
イチョウ
変顔
というキーワードです。 - カーテンを開けると、向かいの人と目が合う。毎日気まずい。は、
ご近所トラブル
向かいの人
気まずい
というキーワードになります。
タグは、このキーワードのことです。発信する時にタグを書くことをタグを付けるといいます。
4つの発信は、それぞれ違いますが、同じタグが出てきます。タグを使うと、探すのが簡単になります。この4つの中で、ご近所トラブルについての発信は、1と4です。犬についての発信は、1と3です。発信1つ1つをじっくり読まなくても、タグで簡単に探せます。SNSは毎日たくさん発信があるので、タグがあると同じ話題を探しやすくなります。
タグの目印として、[#]マークをつけるようになりました。
ワンポイント-[#]は、シャープですか?
[#]は、ハッシュシンボル(ハッシュマーク)といいます。音楽記号のシャープ[♯]とは違います。
ハッシュは、みじん切りという意味があり、野菜などをみじん切りにすると[#]のように見えます。
当時、[#]はあまり使われていなかったので、タグの前に[#]を付けることにしたそうです。[#]が付いている言葉はタグだとすぐにわかるので便利です。