PCの仕組みを学園祭のイメージで説明してみる

PCの仕組みを学園祭のイメージで説明してみる オリジナル

学園祭は、クラスが1つになる良い機会です。クラスメートの意外な一面を知れたり、話しかけたこともなかった人と親友になれたりします。あなたはどんな思い出がありますか。
PCの仕組みは、ちょうど学園祭の準備で盛り上がっている学校のようです。

登場人物

この記事では、PCの次の部品を中心に話を進めます。

  • CPU-クラスのリーダー
  • メモリ-有能な秘書
  • GPUとNPU-陰の立役者“絵師”と“作家”

CPU-クラスのリーダー

クラスのリーダーは、分担を決めたり、作業スケジュールを決めたり、予算配分をしたりします。クラスの外部とのやり取りもあります。
昔は、クラスに1人強いリーダーがいて、何でも手際よくやってくれました。ところが、だんだん出し物が複雑になってリーダーの仕事が増えてしまいました。リーダーは仕事をこなすために、もっと涼しくしろだとか、もっと食事を増やせだとか、要求がエスカレートしました。やがて、1人のリーダーでは限界が来てしまいました。
みんなが困り果ててしまった時、双子のリーダーが現れました。2人で仕事を分け合ったので、前よりも早く仕事が進みました。2食分食事を用意するとしても、1人でがつがつ食べるよりはましです。
やがて、何人かがリーダーのような立場になりました。リーダーのような人たちはそれぞれの役割を果たします。

CPUは、以前の記事でコンピューターチップとして扱ってきたものです。他の部品の電気信号を入力し、ソフトウェアに基づいて計算処理をして、他の部品に電気信号を出力します。

CPUは、PC全体の頭脳です。今のCPUは、複数のコアで成り立っていて、マルチコアCPUと呼ばれています。クラスで例えるとこのコアがリーダーのような立場の人です。
CPUのメーカーとして有名なのは、IntelとAMDですが、それぞれCPUの作りに違いがあります。Intelは、1つ1つのコアをそれなりに優秀にして、それほど多くないコアをCPUに入れます。AMDは、普通の能力のコアをとにかくたくさんCPUに入れます。どちらが良いのかは仕事次第です。上手に分担できる仕事なら、普通の能力のコアがたくさんあれば早く済みます。でも、分担できない仕事なら、1つ1つのコアがそれなりに優秀なほうがいいです。
最近のIntelは、Pコアというとても優秀なコアを数個と、Eコアという“雑用係”のコアを数個入れたCPUを作っています。実は、PCがしていることのかなりの部分は“雑用”なので、PコアとEコアに分ける作りは効率的です。

ワンポイント-マルチスレッドって何?

人間が“ながら作業”をするように、1つのコアで2つの作業ができます。ここでいう作業のことをスレッドといいます。2つの作業をするので、マルチスレッドとかマルチスレッディングといいます。
でも、“ながら作業”がそれほど早く終わらないのと同じで、1つのコアが2つのスレッドを処理するより、2つのコアが1つずつスレッドを扱うほうが早くなります。
コアが同じ能力なら、4コアで8スレッドのCPUよりも、8コアで8スレッドのCPUのほうが優秀です。
聖書も、「1人よりも2人がよい。2人で働くことでより多くの利益が得られるからだ」と教えています。

年々、CPUは早くて優秀になっていきます。でもそれだけ電気がたくさん必要になります。電気が必要になると、熱くなります。それで、CPUには冷やす装置を付けなければなりません。冷やす装置は、空冷式と水冷式があります。
空冷式は、扇風機を小さくしたファンを使って風で冷やしています。PCで、ブーンという音を出すのはこのファンです。
水冷式は、液体を循環させて冷やします。水冷式には、本格水冷と簡易水冷があります。本格水冷は、自分でパイプを加工して液体を循環させます。まるで、アクアリウムのような楽しみ方です。簡易水冷は、加工してあるものを取り付けるだけです。

メモリ-有能な秘書

リーダーには有能な秘書がいます。リーダーの言動を細かく記録するのはもちろんのこと、リーダーに次にどう動けばいいかを伝えます。
また、この秘書の良いところは忘れることです。忘れてくれるので、不都合な記録が残りません。

CPUにとってメモリは、とても近い関係にある部品です。メモリは、計算処理の結果を記憶するだけでなく、ソフトウェアもメモリにあります。ソフトウェアは消えないようにハードディスクやSSDなどのストレージに記録されています。実行する時は、ストレージからメモリに読み込まれます。ストレージはあまり早くないので、CPUと直接やり取りするには少し無理があります。

メモリは、電気が流れなくなると中身が消えます。今のPCは、本当に電源を切る機会は少なくなりました。ディスプレイが消えても、電気は流れたままか、メモリの中身を全部ストレージに書き出してから電源をほとんど流さなくなるかです。この方法だと、使っている途中のことが再開できます。
時々、メモリはごちゃごちゃになります。CPUにとってもういらなくなったことまで記憶していることがあります。そうすると、本当に記憶したいことを記憶できなくなります。
再起動は、メモリの中身を全部消して、ストレージのソフトウェアを最初から読み込み直します。全部消えるので、ほとんどの不都合がなくなります。
停電の時は、再起動と違って、準備もなく、メモリの中身が消えてしまうので、正しい記憶もなくしてしまいます。

CPUにとってメモリは、あればあるだけほしいものです。でも、PC全体の値段を抑えるために、少し足りない程度の容量になっています。
デスクトップPCなら、メモリを増やすのはそれほど難しくありません。部品を増設するか、今あるメモリを容量の大きいものに交換するかです。
ノートPCは、CPUとメモリが一体化していることがあるので、増設は簡単ではありません。
ショップでは、ストレージの容量ばかり注目させようとします。でも、ストレージは外付けすることもできます。本当に気にするのは、メモリの容量です。

ワンポイント-主記憶装置と補助記憶装置。

メモリは、主記憶装置と呼ばれています。CPUと直接やり取りができるからです。
フロッピーディスクやハードディスクは、補助記憶装置です。補助記憶装置は、フロッピーディスクやハードディスクなど円盤の形のものが多かったので、ディスクと呼んだほうがわかる人もいます。ハードディスクも金属でできた円盤が入っています。
ディスクを読み取る装置をドライブといいます。ハードディスクのことをHDDといいますが、これは、Hard Disk Driveの略です。SSDのDもドライブです。
今は、補助記憶装置には、SSDやUSBメモリなどが仲間入りしたので、まとめてストレージと呼ぶようになりました。ストレージは貯蔵という意味です。
さて、メモリもストレージも記憶装置です。でも、メモリは電気がないと消えてしまいます。ストレージは勝手に消えません。それで、このサイトでは、メモリには記憶、ストレージには記録という言葉を使っています。
これは、聖書に「人の記憶にいつまでも残ることはない。…誰もが忘れ去られる」という記述と、「神の名を大切にする人のために,神の前で記録の書が記された」という記述があるからです。

現在メモリはDDR4という規格とDDR5という規格があります。DDR4とDDR5は、形が違います。マザーボードというCPUやメモリを取り付ける基板がDDR4対応なのかDDR5対応なのかで決まります。

GPUとNPU-陰の立役者“絵師”と“作家”

どんな出し物をするにしても、絵や大道具小道具は必要です。クラスには、普段はほとんど誰ともしゃべらないで絵ばかり描いている人が1人ぐらいいるものです。学園祭の今こそ“絵師”の力が十分引き出される時です。
でも、出し物によってはクラスの“絵師”では足りないことがあります。そんな時は、美術部やマンガ研究会にお願いするしかありません。彼らは、専門家なのでどんどん引き受けてくれます。
そもそもの出し物も、シェークスピアを英語でやるような簡単に思いつくものでは時代遅れです。そこで、思いつかないような企画を考え付く“作家”が重要になります。深夜のラジオ番組に連日投稿しているような人です。そういう人たちは、やがてラジオ番組を作る側になるでしょう。彼らは、数学はあまり得意ではありませんが、何かを生み出す力があります。

ディスプレイに何かが表示できるのは、グラフィックス機能があるからです。あなたがこの文章を読めるのもグラフィックス機能のおかげです。PCの進歩の歴史は、グラフィックス機能の向上ではっきり見えます。
グラフィックス機能が弱いと、ディスプレイ表示がカクカクします。そうなると、キーボードやマウスからの操作にすぐに反応しないで表示がゆっくりと切り替わるような感じになります。それはとても使いにくいでしょう。
多くのCPUにはグラフィックス機能が入っています。クラスに“絵師”がいるようなものです。
でも、CPUに入っているグラフィックス機能では足りない時があります。どういう時ですか。1番は、ゲームです。今のゲームは映画のような映像がずっと動き続けるからです。ゲーム以外でも、カメラで撮影しながらその映像を加工するという時などもCPUに入っているグラフィックス機能では足りなくなります。

そういう時は、ビデオカードという部品を取り付けます。ちょうどこれは、美術部やマンガ研究会のような専門的な“絵師”たちです。

ワンポイント-ビデオカード?グラボ? どれが正しい?

ビデオカードの他に次のような呼び方があります。

  • グラフィックスカード
  • グラフィックスボード(略してグラボ)
  • ビデオボード
  • GPU
  • VGA

考え方や歴史が少しずつ違いますが、同じ部品のことを指すのでビデオカードで統一します。

ビデオカードは、グラフィックス機能を専門に扱う部品です。ビデオカードの1番大切な部品はGPUというコンピューターチップです。CPUの中に入っているグラフィックス機能とは別の、独立したGPUのことをディスクリートGPUといいます。

今は、3社がGPUを作っていて、次のような名前です。

  • NVIDIAのGeForceシリーズ
  • AMDのRadeonシリーズ
  • IntelのArcシリーズ

このGPUを入れてビデオカードが作られます。このGPUとビデオカードの関係は、CPUとPCそのものの関係に似ています。CPUはIntelとAMDが作っています。そのCPUの入ったPCは、富士通やNECやTHIRDWAVEなどが作っています。同じように、GPUを作っているのはNVIDIAとAMDとIntelの3社ですが、GPUを入れたビデオカードを作っているのは、ASUSやASRockやPalitというメーカーです。

最近のGPUの1つの注目ポイントは、レイトレーシングです。レイトレーシングは、光がどのように反射するかを計算して表現することです。GPUの中には、目では見えませんが、映画のスタジオのような空間があります。そこに太陽と水たまりを置くと、水たまりは太陽を反射します。さらに、自動車が通ると、水たまりは陰になり、自動車が太陽を反射します。レイトレーシングが得意なGPUの中では、太陽も水たまりも自動車も、自分が光をどこに飛ばせばいいかをそれぞれ考えています。そして、それを1秒間に120回ほど映せる画像にするので、とてもきれいな映像になります。

これまでGPUは、CPUの指示で映像を作ってきました。でも、CPUからの指示を少なくして、GPUが考えて絵を描くとどうなるでしょうか? それこそが、画像生成AIです。GPUの中にはスタジオのような空間があります。そこに、GPUが考えて何かを置いていきます。何かを置いていくというより、でたらめに置かれたちりのようなものを少しずつ並び替えていきます。もちろん、本当に何もないところから何かを作り出せるわけではありません。とてもたくさんの写真を学習してあります。それをもとにそれらしい画像を作り出します。画像生成AIを楽しみたいなら、NVIDIAのGeForceシリーズがいいでしょう。

GPUは、グラフィックス機能と画像生成AIのためのものです。NPUは、もっと広くAIを扱うものです。
メールの書き方をアドバイスしたり、データを分析したりします。NPUが入っていないPCで、AIを使うとすると、インターネット上にあるNPUを使わなければなりません。そうすると、データをインターネットで送ることになります。送ったデータは、誰が見てどう使うのか、本当のことはわからないので、インターネット上にあるNPUを使いたくないと思う人もいます。
PCにNPUが入っていれば、データがインターネット上に送られることはありません。

Appleという超エリート校

Appleは、超エリート校です。リーダーのような人たち、優秀な秘書、それに“絵師”や“作家”、これらが1つにまとまっています。超エリート校なので、ゲームのようなちゃらちゃらしたものは、ほとんど禁止です。他の学校でやっているような出し物も、この学校の独自のスタイルがありそうです。

Appleは、MacというPCを作っています。MacはPCではないという考え方もありますが、その考え方は扱わないことにします。
昔は、MacもIntelのCPUが入っていました。
今は、iPadの高級製品と同じAppleシリコンと呼ばれるコンピューターチップが入っています。

Appleシリコンは、CPUとメモリとGPUとNPUが一体化しています。一体化しているので、互いの連携がとても取りやすく素早く動けます。また、一体化してないとそれぞれに電気を流す必要がありますが、Appleシリコンなら少ない電気でやりくりします。

いいことばかりのようなAppleシリコンですが、気になるところもあります。部品の増設や交換ができないことです。特に、自分の使い方でメモリがどれくらい必要かは、わかりにくいものです。Mac以外のPCなら、たいていメモリは後から増設や交換できます。でも、Appleシリコンは、一体化しているので、最初からあまるほどのメモリが入ったものを選ばなければなりません。

Appleシリコンができる前から、そもそもMacは、他のPCで使えるアプリが使えません。それで、他のPCで作ったデータをMacでそのまま読み込めません。何とか読み込んでも、少しおかしく見えたりします。
そういう事情があるので、仕事で他のPCとやり取りする人には、Macは向きません。
逆に、全員がMacを使っていたら、あなたもMacを活用できます。

おしゃれ感覚でPCを持ちたいなら、絶対にMacがお勧めです。

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