池に石を落とすと、まるく波紋が広がります。電波の広がり方は波紋に似ています。
でも、電波は水面の波紋と違うところもあります。電波は、目で見ることができませんから、どこまで広がったかわかりません。それに、電波は空中に広がるので、嫌なにおいや有毒ガスと同じで、正しくない使い方をすると、大勢の人に迷惑をかけます。
Wi-Fiは、いつでもどこでも、なくてはならないものになりました。それで、Wi-Fiのことを正しく知っておかなければなりません。
絶対知っておきたいWi-Fiの仕組み
図01を見てください。
図01

Wi-Fiは、敷地内のアクセスポイントとあなたのコンピューターや電気製品をつなぐものです。この図では、緑色の点線がWi-Fiです。緑色の点線だけではインターネットにつながっていませんから、Wi-Fiだけだとインターネットは使えません。
たいていのルーターがアクセスポイントの役割も持っています。それで、ルーターがインターネットにきちんとつながっていれば、Wi-Fiでインターネットが使えます。
アクセスポイントは2つ以上あってもいい
Wi-Fiは敷地内だけの電波ですから、強くはありません。壁があるともっと電波が弱くなります。それで、アクセスポイントが取り付けられたところと違う部屋でコンピューターや電気製品を使おうとすると、通信が不安定になります。
少し、光ファイバーケーブルを引いた家のことを考えてみましょう。家の外から光ファイバーケーブルを引く都合で、玄関や台所などにルーターを取り付けることが多いでしょう。このルーターがWi-Fiのアクセスポイントになります。でも、あなたがコンピューターや電気製品を使うのは、少し奥の部屋か、2階かもしれません。木でできた家だとしても、だんだんと電波が弱くなってしまいます。
コンピューターや電気製品を使う部屋の近くにルーターを持ってきたくなりますが、ルーターを移動しないでください。そのルーターには、光ファイバーケーブルがつながっているからです。無理に移動しようとすると、光ファイバーケーブルが折れたり切れたりするからです。それに、電話線がつながっていることもあり、最初に取り付けた場所から移動できないでしょう。
そうだとすると、自分の部屋でWi-Fiはつなげないのでしょうか。そんな時は、アクセスポイントをもう1つ買ってきて、あなたの部屋に取り付けます。図02を見てください。
図02

別の部屋と書いてあるのがあなたの部屋です。あなたの部屋にルーターとは別にアクセスポイントを取り付けます。でも、アクセスポイントを取り付けても、ルーターとつながないとインターネットは使えません。
図の青い線のように、ルーターとあなたの部屋に取り付けるアクセスポイントをつなぐには、LANケーブルを使います。ここをWi-Fiにすることもできますが、Wi-Fiのことをまだよく知らないなら、LANケーブルを使ったほうが楽です。
ワンポイント-アクセスポイントは売ってない⁈
図02のように、新しくアクセスポイントを買う時、家電量販店で何を買えばいいのでしょうか。店員もアクセスポイントという言葉がわからないことがあります。
家電量販店では、Wi-Fiルーターとか無線LAN親機と言えば通じます。Wi-Fiルーターには、いろいろな機能がありますが、あなたに必要なのはWi-Fiのアクセスポイントとしての役割です。
王国会館でも、ステージと座席と第二会場のそれぞれでWi-Fiを使えるようにするために、アクセスポイントをいくつか取り付けているところもあります。
しないさせない!!Wi-Fiの泥棒
今はどこの家でもWi-Fiを使っていますから、あなたの部屋から1番近いアクセスポイントは、隣の家のものかもしれません。もし、そのアクセスポイントにつながってしまうと、あなたの家のLANではなく隣の家のLANに入り込むので、その家の許可が必要になります。その家の許可なくつないだら、その家の電気や通信の内容を盗んでいるので、あなたは泥棒になります。
逆に、隣の家の人があなたの家のWi-Fiに勝手につなぐと、その人は泥棒になります。その人が勝手につなげるようにしておくと、隣の家の人が泥棒になるのをあなたが手助けしたことになります。
Wi-Fiには、あなたが泥棒になったり、誰かを泥棒にさせたりしないような仕組みがあります。
SSIDはWi-Fiの電波の名前。
どこのアクセスポイントからのどの電波かをはっきりさせるためにWi-Fiの電波には名前が付けられます。この電波の名前をSSIDといいます。あなたの家のアクセスポイントからの電波には、そのことがはっきりわかるSSIDを付けます。
そして、SSIDの一覧から自分の家のWi-Fiにだけつながるようにします。
セキュリティキーはWi-Fiにかけるカギ。
他の人が勝手にあなたの家に入り込んで、ものを使うとしたら泥棒です。それで、あなたの家にカギをつけて、家族だけがカギをあけられるようにします。でも、あなたがカギをかけなかったら、その人が泥棒になるのを助けたのはあなたです。少なくとも泥棒になるのを黙って見ていたことになります。
そんな悪いことが起きないように、Wi-Fiにはセキュリティキーというカギをかけます。カギを持っている人だけが家に入れるように、セキュリティキーを知っている人だけがあなたの家のWi-Fiにつながります。
あなたは隣の家のWi-Fiのセキュリティキーを知らないので、隣の家のWi-Fiにはつながりません。隣の家の人にはあなたの家のWi-Fiのセキュリティキーを教えないので、あなたの家のWi-Fiにつながりません。それで、お互いにやましい気持ちにならないで済みます。
ワンポイント-どの言葉が正しい?
セキュリティキーのことを他にも次のような言葉があります。
- 暗号化キー
- ネットワークキー
- パスフレーズ
- パスワード
細かい役割の違いで使い分けますが、この記事では細かい役割までは扱わないので、Wi-Fiのどの電波を使うかを決める時に入力するものをセキュリティキーといいます。
実際にSSIDとセキュリティキーを使う。
あなたのコンピューターや電気製品でWi-Fiをつなぐ時に最初にすることは、その近くで使われているWi-FiのSSIDの一覧を見ることです。そのSSIDの一覧には、あなたの家のアクセスポイントの電波もあれば、近所の家のアクセスポイントの電波もあります。住宅地だと多くのSSIDがならびます。
SSIDの中から、あなたの家のSSIDを選びます。そして、あなたの家の人しか知らないセキュリティキーを正しく入力すれば、Wi-Fiがつながります。
ワンポイント-王国会館のWi-Fiを使う時。
たいていの王国会館にはWi-Fiがあります。これはJW Libraryを更新したり、集会前後に自分のコンピューターでZoom参加者と交友したりするためのものです。
王国会館のインターネットの費用は、みんなの寄付から支払われています。あなたも寄付しますか。
ですから、王国会館のWi-Fiをつないで、インターネットでオンラインショッピングやSNSなどの個人的なことには使えません。それで、正しくインターネットを使う人にしかSSIDとセキュリティキーは教えません。
自分の家に光ファイバーケーブルを引くか、モバイルデータ通信を契約すれば、王国会館のWi-Fiにつないでインターネットを使わなくても済みます。
取り付けたばかりのルーターや、買ったばかりのアクセスポイントには、メーカーが決めたSSIDとセキュリティキーが設定してあります。それは、シールかステッカーになっています。ルーターやアクセスポイントをよく見てください。
ためしで、メーカーが決めたSSIDとセキュリティキーを使うのはいいですが、ずっとそのまま使わないようにしましょう。
隣の家で使っているアクセスポイントとあなたの家のアクセスポイントが同じメーカーだとSSIDとセキュリティキーが同じ文字の組み合わせになってしまうことがあるからです。
ワンポイント-エホバの証人の兄弟たちは、自宅で慣れておく。
王国会館には、サイバーセキュリティーガイドラインがあります。王国会館の機器の取り扱いの指示です。
その中に、買ってきたか工事業者が取り付けた後、そのままのIDやパスワードで使わないようにとの指示があります。そのままのIDとパスワードだと“専門家”なら簡単に入り込めるからです。
このガイドラインは、王国会館の機器のものですが、まず、自分の家で慣れておくと良いでしょう。
法律に従って使う
電波は、空気や水と同じく公共のものです。悪臭や騒音が周りの人にも迷惑になるように、電波も使い方を間違えると周りに迷惑をかけます。それで、電波の使い方には法律があります。
Wi-Fiのような電波を使う機器には、技適マークが付けられていなければなりません。技適マークは、国の審査を通った機器に付けられます。
日本以外のメーカーの機器は技適マークのないものもあります。日本以外のメーカーの機器を買う時は、技適マークを確認してください。特に、個人で輸入するコンピューターは技適マークがありません。
技適マークを機器に付けてもらう審査には、国内メーカーを守るという意味合いもあります。まだ国内メーカーが研究できていない新しい技術が勝手に使われないためです。
技適マークについてはいろいろな考え方がありますが、技適マークのない機器を使うと法律に背きます。法律で決まっていることですから、自分だけでなく他の人の良心を傷つけないためにも守りましょう。
まとめ
Wi-Fiについて知っておきたいことを考えてきました。まとめると次の4つになります。
- Wi-Fiは、敷地内のアクセスポイントとコンピューターや電気製品を電波でつなぐものです。アクセスポイントは2つ以上に増やせます。
- 他の家のWi-Fiに勝手につながるのは、泥棒になります。
- 自分と他の人を泥棒にしないために、Wi-Fiの電波にはSSIDという名前を付けて、セキュリティキーというカギをかけます。あなたの家のWi-Fiはあなたと家族がつなぎます。
- 電波は、公共のものなので、法律を守って使います。神様にも喜ばれるため、法律を守って、技適マークのある機器を使います。
Wi-Fiは、どこでもなくてはならないものになりました。それでこの4つのことは知っておきましょう。