この章では、コンピューターチップのしていることを考えます。コンピューターチップの動作というと、複雑でわからないし、そもそもそんなことに興味がないと感じてしまっていませんか。
実は、コンピューターチップのしていることは3つしかありません。そしてその3つは皆さんがほぼ毎日していることと似ています。
それに、コンピューターチップのしている3つのことがわかると、コンピューターを上手に扱う土台ができます。
コンピューターって何?

コンピューターの本当の形は、コンピューターチップと呼ばれる部品です。コンピューターチップは、今では冷蔵庫や洗濯機などのどこにでもある電気製品に組み込まれています。
電気を細かくしていくと電子と呼ばれるようになります。コンピューターチップは電子を取り扱う部品なので、コンピューターチップが組み込まれた機器のことを電子機器といいます。
ワンポイント-コンピューターとコンピューターチップと電子機器は何が違うのですか。
このサイトでは、コンピューターに関係するすべての機器を電子機器と呼びます。
その中のPC(パソコン)とスマートフォンとタブレットをまとめてコンピューターと呼びます。
コンピューターの中心になる部品がコンピューターチップです。
このサイトで電子機器と呼ぶものの一例
- ホームゲートウェイ(ルーター)
- プリンター
- ディスプレイ
- Wi-Fi親機
- コンピューター( PCとスマートフォンとタブレットのこと)
コンピューターチップは自動車のエンジンと同じで、それだけでは役割を果たせません。エンジンは取り付けるタイヤやハンドルの種類によって、乗用車にも農耕車両にもなります。コンピューターチップも周りの部品次第で、いろいろなことに使えます。
こんなにコンピューターが使われているのはなぜ?
もちろん、コンピューターチップを使わない機械もたくさんあります。でも、コンピューターチップを組み込むと、さらに便利になります。まるで機械が考えたり気を配ったりしているように感じさせます。
冷蔵庫のことを考えてみましょう。なぜ冷蔵庫にコンピューターチップが必要なのだろうと思うかもしれません。
決まった時間の間隔で冷やす装置を動かす冷蔵庫はコンピューターチップがなくてもできます。でも、その冷蔵庫は、途中で誰かが開けたせいで中の温度が上がっても、冷やす装置を動かす時間が来るまで中は生ぬるいことになるでしょう。逆に中が十分に冷えていてもおかまいなく時間が来ると冷やす装置が動きます。
コンピューターチップが組み込まれた冷蔵庫なら、中の温度によって冷やす装置を動かしたり止めたりすることができます。誰かが冷蔵庫を開けて中の温度が上がってしまったらすぐに冷やす装置を強力に動かし、中の温度が上がっていない時は少しだけ冷やす装置を動かします。
このように、今まで何が何でもまっすぐにしか動かなかった機械が、コンピューターチップが組み込まれると気の利いたような動きをするようになります。ですから、多くの電気製品にコンピューターチップが組み込まれています。
コンピューターチップがしている3つのこと
皆さんが家族に食事を作ることを少し思い出してください。まず、材料を手に入れ、それを切ったり焼いたりして調理して、食卓においしい料理が並びます。
コンピューターチップのしていることは、皆さんが毎日家族のために食事を作ることに似ています。まず、周りの部品から電気信号を受け取ります。次に、受け取った電気信号を強くしたり別の電気信号に置き換えたりします。そして最後に、電気信号をほかの部品に送ります。
次の表を見てください。これは、コンピューターチップのしていることがそれぞれ何という言葉で表されるかを示しています。
コンピューターのしていること | 意味 | イメージ |
---|---|---|
入力(Input) | コンピューターチップが周りの部品から電気信号を受け取ること。 | ![]() 材料を手に入れ |
計算処理 | 受け取った電気信号に付け加えたり別の電気信号に置き換えたりすること。 | ![]() 調理して |
出力(Output) | コンピューターチップからほかの部品に電気信号を送ること。 | ![]() |
まず、周りの部品からコンピューターチップに電気信号が入力されます。次に、入力された電気信号に付け加えたり別の電気信号に置き換えたりする計算処理をします。その計算処理した電気信号をほかの部品に出力します。食事でイメージすると、入力が材料を手に入れること、計算処理は調理、出力は家族に食べてもらうことにあたるでしょう。コンピューターチップはこの3つのことをずっとずっとずっと繰り返しています。
本当に、3つの言葉で説明できる?
コンピューターというと複雑なイメージですが、本当に、入力、計算処理、出力の3つの言葉で説明がつくのでしょうか。冷蔵庫と洗濯機の例で考えてみましょう。
冷蔵庫に組み込まれたコンピューターチップのしていること
- 入力:温度センサーから温度を電気信号で受け取ります。
- 計算処理:受け取った温度をもとに、冷蔵庫内が生ぬるいか、ちょうどよい温度か判断し、それに基づいた電気信号を作り出します。
- 出力:作り出した電気信号を冷やす装置に送って冷やします。
洗濯機に組み込まれたコンピューターチップのしていること
- 入力:水に溶けだした成分を汚れセンサーから電気信号を受け取ります。
- 計算処理:汚れセンサーから受け取った電気信号をもとに、軽い汚れなのか、ひどい汚れなのかを判断し、電気信号を作り出します。
- 出力:作り出した電気信号をモーターに送って動かします。
冷蔵庫や洗濯機に組み込まれたコンピューターチップのしていることは説明がつきましたが、あなたの身の回りにあるPCやスマートフォンやタブレットではどうでしょうか。
それに、コンピューターチップのしていることがわかると、どうして役立ちますか。続きへ進みましょう。