NW-28 相手が困る!! あなたのメールが見づらくなる2つの原因

NW-28 相手が困る!! あなたのメールが見づらくなる2つの原因 賢くインターネットを使う

聖書は、「塩で味付けされた快い言葉を語る」ようにと教えています。たいてい塩で味付けされていればおいしく食べられるのと同じように、相手が聞き入れやすいような言葉を選ぶ、という意味です。
今は、言葉は、口から出るだけではありません。あなたのメールは相手が受け入れやすい言葉を選んでいますか。
でも、あなたが、いくら相手に親切な言葉を選んでも、メールが見づらいと意味がありません。
あなたがメールを書く時、相手が見づらくなってしまわないために何ができますか。

メールが見づらくなる2つの大きな原因

あなたが友達からハガキを受け取ったところをイメージしてください。そのハガキは、読みにくい小さな文字で書かれています。それだけでなく、ぬれた手で触ったらしく、ところどころ文字がにじんでいます。これでは、いくら良い内容が書かれていても、じっくり読む気持ちになれません。

同じように、メールも、見づらくて何が書いてあるか読めないなら意味がありません。
それに、見づらいメールを送ると、しなくてもいい苦労を相手にさせてしまいます。メールを受け取った人は、大切なことが書いてあるだろうと考えて、あなたからの見づらいメールを何とかして読もうと苦労するからです。

メールが見づらくなる原因はたくさんあります。ここでは、メールを書く時に見づらいメールになる次の2つの原因を考えます。

  • 1行あたりの文字数が制限を超えている。
    メールには1行の文字数に制限があります。その制限を超えると、正しくやり取りできなくなります。
  • HTMLメールを使っている。
    文字のサイズや色を変えるなどの文字装飾がかえって見づらくなる原因になります。

どちらも、メールを書く時に気を付ければ、見づらくならないで済みます。それぞれ詳しく考えてみましょう。

1行あたりの文字数が制限を超えている。

もともと、メールは古い決まりで成り立っています。当時は一度に扱えるデータ量が少なく、ゆっくりとしたやり取りでした。ゆっくりやり取りしても間違いが入り込むこともあったようです。それで、当時のコンピューターでもできるだけちゃんと扱えるような古い決まりが今も残っています。

メールの決まりの1つは、1行の文字数の制限です。

今の日本語の横書きの文書だと、左端から書き始めて右端まで行くと次の行になります。でもこれはディスプレイや用紙サイズの制限で、コンピューターにとっては1行のままです。
コンピューターを使って文章を書いたことのある人なら、改行[↲]キーで次の行に移ったことがあるでしょう。改行[↲]キーで、あなたがはっきり改行したところまでが、コンピューターにとっての1行です。

ワンポイント-改行コードはいろいろある。

コンピューターは、1文字1文字に番号を付けていて、その番号データの並びで文字列を扱っています。例えば、[74,69,72,79,86,65,72]という7つのデータの並びは、[JEHOVAH]という文字列になります。コンピューターの文字の扱い方は[コンピューターが世界中の文字がわかるのはなぜ?]という記事があります。

コンピューターは改行も1文字のように扱っています。それで、改行にも番号があります。改行に付いている番号を改行コードといいます。コンピューターで文字を入力する時に、改行[↲]キーを押すと改行コードが入ります。コンピューターは、改行コードまでを1行の文字列として扱います。
ここでは詳しく扱いませんが、どの番号が改行コードなのかはコンピューターの種類で違っています。改行コードの番号が合わないデータをそのまま読み込もうとすると正しく読み込めなくなります。他のコンピューターで作った文書を正しく読み込むには、改行コードを自分のコンピューターに合わせて変換しなければなりません。

メールの決まりの1行の文字数制限というのは、改行[↲]キーで次の行に移るまでの文字数のことです。
日本語でのメールの1行の文字数は39文字までです。
図01を見てください。

図01

図01のように数えると、[あ]から[よ]までで40文字で、1行の文字数制限を超えています。
これではメールの決まりに合っていません。
図02のように改行すると、メールの決まりに合わせられます。

図02

39文字までで改行すればいいので、[よ]だけ次の行になるのが嫌だと感じる人は、次のように改行できます。

メールの1行の文字数制限は、ざっくりいうと、「1行39文字までならちゃんと送れるけれど、それ以上は正しく送れるかわからない」という意味です。正しく送れないとどうなりますか。文字の番号に間違いが入り込むので、あなたが送ったのとは別の文字になってしまいます。そうしたら、どんなに良い言葉をメールで送っても、わからない文字列になって、読めなくなってしまいます。

HTMLメールを使っている。

文書作成アプリだと、文字サイズを変えたり、文字の色を変えたりする文字装飾ができます。
文書作成アプリのように文字装飾したメールをHTMLメールといいます。

ワンポイント-HTMLメールはリッチテキストメールとどこが違う?

HTMLというのは、Webページを作る仕組みです。[Webブラウザーって何をするアプリ?]という記事で、ドラマの台本のようなもの、と説明したのがHTMLのことです。

HTMLメールは、HTMLの仕組みをメールで使って、文字装飾や、画像の組み込みや、印刷物のようなレイアウトを作ることもできます。
画像の組み込みや印刷物のようなレイアウトまではしないけれど、文字サイズや色を変える文字装飾をしたメールをリッチテキストメールといいます。リッチテキストメールは、HTMLでできることの一部を使っているので、大きく分けると、HTMLメールです。

HTMLメールなら文章のキーワードを目立たせたり、カラフルにできたりするので便利です。でも、見づらくなる原因になります。図03を見てください。

図03

図03では、メールを書いている側は誰でも読みやすいような文字サイズで書いていて、わかりやすいように文字の色を変えています。ところが、受け取った側は、文字サイズが全体に小さくなり、線も細くなっています。これでは、年長の人たちは見づらくて、読むのにとても苦労します。
なぜ、メールを書いている側と受け取った側で、こんなに見た目が違ってしまうのでしょうか。HTMLメールは書いている側の思った通りには表示できないことがあるからです。HTMLメールでは、図03のように書いている側と受け取った側で見た目が違ってしまうことがよくあります。

図03のように見づらくならないためにはどうすればいいでしょうか。HTMLメールではなく、文字装飾のないプレーンテキストでメールを書くことです。

ワンポイント-プレーンテキストってどういうこと?

プレーンテキストのプレーンは、無地とか、飾らない、という意味です。砂糖やフルーツが混ざっていないヨーグルトのことをプレーンヨーグルトというのも、無地で飾らないプレーンなヨーグルトだからです。
プレーンテキストは、プレーンなので、文字装飾はなく、文字がずらりと並んでいるだけです。
一方、リッチテキストは、文字だけでなく、文字装飾もあります。
同じ文字数の文書でも、コンピューターにとっては、文字だけのプレーンテキストは容量が小さく、扱いやすいものです。リッチテキストは、文字と文字装飾の両方があるので、容量は大きくなり、扱いやすくありません。

あなたはメールを書く時に、どのアプリを使っていますか。たいていのメールアプリには、プレーンテキストでメールを書くモードがあります。GmailやYahooメールのようなWebメールも、プレーンテキストでメールを書くモードがあります。
プレーンテキストでメールを書くモードにすると、文字サイズや色の変更はできなくなります。

あなたが、プレーンテキストでメールを書くと、受け取った人たちは文字装飾がない文字だけのメールになります。文字装飾がないメールは、受け取った人が決めた見やすい文字サイズで表示できます。

ただのマナー?

1行の文字数制限や文字装飾をしないことをメールのマナーだと教える人たちがいます。
マナーというのは、誰かを怒らせたり、がっかりさせたりしないための心の決まりのようなものです。マナーは、だんだんと時間が経ってみんなの考え方で変わるものです。多くの人が、あるマナーに従わなくなったら、そのマナーは古くなり、多くの人のやり方が新しいマナーになります。

メールの決まりは、ただのマナーではありません。
文字数制限は、メールをちゃんとやり取りするための決まりです。日本語なら、1行の文字数は39文字までで、それを超えると正しく送信できるかわかりません。
もしも、多くの人が1行の文字数を39文字以上で送るのが当たり前になったら、39文字という文字数制限がなくなるのでしょうか。そうではありません。世界中全部のメールを扱う機器が文字数制限しなくてもよくなった時が、文字数制限がなくなる時です。

文字装飾があるメールは、ビジネスの現場では受け取ってもらえません。HTMLメールは、文字装飾だけでなく、セキュリティを攻撃する仕組みを組み込めるからです。それで、受け取る人に届く前に、会社のメールサーバーでHTMLメールは処分されてしまいます。
仕事でメールを使う人たちは、こういう決まりを守るのは当たり前のことです。

メールを書く時は、文書作成アプリを使う時と違って、1行の文字数は39文字までで改行して、文字装飾をしないプレーンテキストにするという決まりだと思ってください。

相手が見やすいメールを書けるようになれば、やっと、あなたの「塩で味付けされた快い言葉」が届きます。

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