あなたは、コンピューターを難しく感じますか。そう思うのは当たり前です。
コンピューターの中で起きていることは、手で触れる現実世界とは違うからです。
コンピューターの中と、手で触れる現実世界との違うところをいくつか考えてみましょう。違いがわかると、コンピューターを扱いやすくなるでしょう。
画像と文字は扱い方が違う
あなたが紙に何かを書く時、絵も文字も区別なく書けます。絵の中に文字を混ぜられるし、文字の中に絵を入れることもできます。書いてあるものを見る時も、絵と文字が混ざっていても読み取ることができます。
コンピューターは、画像は画像、文字は文字というふうに扱い方が違います。
コンピューターにとって画像はピクセルの並び。
コンピューターにとって、画像は色の粒の並びです。色の粒のことをピクセルといいます。
ワンポイント-光なのか色なのか?
ピクセルは、ディスプレイに映る時は光で、印刷する時は色です。ディスプレイに映る光はRGB(赤と緑と青)からできていて、印刷の色はCMYK(シアンとマゼンタと黄色と黒のようなもの)からできています。コンピューターで作った画像を印刷するには、光と色を上手に合わせなければなりません。
でも、ここでは、光と色の違いは扱いません。どちらも人間には、色が付いているように見えます。
色にはそれぞれ番号があり、画像はその番号がずらりと並んだものです。
コンピューターには、画像の中に文字があってもピクセルの並びとしかわからないので、何が書いてあるかはわかりません。
人間は、ピクセルの並び方を見て、何の画像かがわかります。画像に文字のように見えるところがあれば読み取ろうとします。
コンピューターは文字を文字コードで扱う。
コンピューターは、文字を文字コードという番号で扱っています。文字が並んでいるのを文字列といいます。コンピューターの中では、文字列は文字コードがずらりと並んでいます。
文字コードについては、[コンピューターが世界中の文字がわかるのはなぜ?]という記事があります。
人間は、文字列を見ると文や単語に見えるので、意味がわかります。
文字コードを人間が読める文字にする仕組み。
コンピューターが文字を表示できるのは、1文字1文字の形を画像のようにしたものを並べているからです。
1文字1文字の形を画像のようにしたもののことをフォントといいます。フォントは、読みやすいものもあれば、おしゃれでかっこいいものもあります。文字装飾で、どのフォントを使うかを選べます。
あなたが使っているコンピューターに組み込まれているフォントが、他の人のコンピューターに組み込まれていないと、同じ文書なのに見た目が違ってしまいます。
画像に文字を書き込みたい時は、文字をフォントで画像にして、もとの画像の上に重ねます。一度重ねた文字を変えるには、重ねる前の画像が残っていないと難しいです。
コンピューターが画像から文字を読もうとする工夫。
コンピューターが画像から文字を読み取ろうとする工夫は長い間研究されてきました。
最近は、AIを使って、人間が見ているかのように画像から文字を読み取ったり、文字を重ねる前の画像を考えたりできるようになりました。
知っておきたいコンピューターの中と現実世界の違い
コンピューターの中では、画像は画像、文字は文字というふうに扱いが違います。
画像は色の粒の並びとして扱われ、文字は文字コードで扱われています。文字を人間が読めるようにするには、それぞれの文字を画像のようにしたフォントを使います。
コピーしたものも本物
ケーキを1つ作ったところをイメージしてください。同じケーキをもう1つ作るには、同じ材料を用意して同じ作り方をしなければなりません。
コンピューターのデータは、電気信号の組み合わせなので、同じように電気信号を並べれば、コピーできます。
コピーは、印刷ではなく、複製のこと。
あなたは、もしかすると、コピー機のことを思い浮かべて、コピーすることを印刷することだと思っているかもしれません。コピー機では、ページを写真のようにコピーして、そのコピーを紙に印刷しています。
コンピューターの中でのコピーは、電気信号を同じ順番で並べて複製することで、印刷することではありません。コンピューターで、電子版の本をコピーすると、同じ電子版の本がコンピューターの中に複製されます。CDに入っている音のデータは簡単にコピーできて、コンピューターで聞けます。
でも、本やCDだけでなくデータが勝手にコピーされると、作者たちは困ります。それで、データを勝手にコピーしてはいけないという法律があります。
ただし、自分だけで使う分はコピーしてもかまわないようです。例えば、自分で買ったCDを自分用にコピーしたくなることもあるでしょう。
ワンポイント-コピーを勝手に使われないようにする仕組み。
コンピューターの中で、おおもとのデータとコピーしたものを区別するNFTという仕組みがあります。例えば、NFTを使うと、コンピューターで作った絵や音楽の作者がはっきりわかり、勝手にコピーできなくなります。
ここでは、NFTで守られているデータのことは扱いません。NFTは、まだそれほど使われていないからです。
インターネット上のものをダウンロードする。
インターネットは、サーバーという大きなコンピューターとのやり取りです。サーバーにあるデータをコピーして手元のコンピューターに取り込むことをダウンロードといいます。
あなたがJW.ORGの動画をダウンロードすると、JW.ORGのサーバーにある動画のコピーがあなたのコンピューターが取り込まれます。コピーなので、同じ動画を大勢の人がダウンロードしても、サーバーの中で“売り切れ”のようなことにはなりません。
知っておきたいコンピューターの中と現実世界の違い
現実世界で、ものを複製するには、本物と同じ材料を用意して、同じ作り方をしなければなりません。
コンピューターの中のデータは電気信号の並んだものなので、そっくり同じように並べると簡単にコピーできます。
リンクはインターネットの乗り物
紙の本を読んでいて、他の本との関係を知りたくなったら、その本も持ってこなければなりません。
例えば、あなたが印刷版の本を読んでいて、意味がよくわからない言葉が出てきたら、今読んでいる本を机に広げたまま、辞書を持ってきてわからない言葉を調べるでしょう。
インターネット上にある画像や記事は、全部インターネット上のどこにある情報なのかがわかるURLがあります。
インターネットのリンクは、すぐにその情報を開ける仕組みです。リンクのおかげで、自宅から世界中の画像や記事を見られます。
ワンポイント-リンクとURL。
URLは、インターネット上の画像や記事がどこにあるかを表すもので、宝の地図のようなものです。URLについては、[URLは宝の地図]という記事があります。
リンクは、URLに書いてある情報にあなたのコンピューターをつなげる仕組みです。URLが宝の地図だとすると、リンクはそこに運んでくれる乗り物のようなものです。リンクは、ハイパーリンクという言葉を短くしたものです。
リンクを使うと、Webページを開けたり、電子版の出版物などをダウンロードできたりします。
リンクを使うことを「リンクを開く」とか「リンクを踏む」という言い方をします。
リンクの仕組みは悪用できる。
リンクは、インターネットで、なくてはならない仕組みです。でも、リンクの仕組みは、気になることがあります。
リンクは、書いてあるところと違うところに飛ばせます。これはとても悪い使い方ができます。
例えば、次のようなリンクがあるとします。
誰でもこのリンクを見れば、JW.ORGへのリンクだとわかります。この表示には間違ったことは書いてありません。
でも、気を付けてください。本当に気を付けてください。
リンクの仕組みを悪用すると、JW.ORGとは関係ないWebサイトに飛ばすことができるからです。
誰かから、次のようなメールが来ると、エホバの証人なら疑いなくリンクを開いてしまうでしょう。
親愛なる兄弟姉妹
統治体から重大な発表があります。
エホバの証人の公式Webサイト-https://jw.org/
から、動画をご覧ください。
もちろん、誰から送信されたメールかは注意して、知らない人からのメールならとても気を付けているでしょう。
でも、知っている人からの送信だとしても、なりすましで勝手に送信されたのかもしれません。
正しく見えるリンクですが、リンクの仕組みを悪用すると、エホバの証人に反対する考え方のWebサイトに飛ばされてしまうかもしれません。
迷惑メールのほとんどは、リンクの仕組みが悪用されています。AmazonやAppleやNTT Docomoへのリンクに見せかけて偽サイトを開かせようとします。
知っておきたいコンピューターの中と現実世界の違い
現実世界では、今いる場所から遠く離れた別の場所へはすぐには行けません。本を読んでいる時も、別の本を調べたくなったら、取ってこなければなりません。
コンピューターには、リンクの仕組みがあり、今見ている記事から別の記事にすぐに移れます。
でも、リンクの仕組みを悪用する人がいて、あなたを悪いWebサイトに行かせようとします。