07 面倒くさい?それとも便利?IDとパスワード

07 面倒くさい?それとも便利?IDとパスワード ずっと走り続けるために

あなたは、コストコなどの会員制ショップで買い物をしたことがありますか。会員証のない人は、買い物ができません。会員登録して、会員証をもらうと買い物ができるようになります。

コンピューターのある機能は、使っていい人と使ってはいけない人がいて、それを見分けなければなりません。また、インターネット上では、個人を区別して、それぞれ別々の対応をしたい場所がたくさんあります。そこで、IDとパスワードを使います。

IDとパスワードは何のためにあるのか

コンピューターでよく使うIDとパスワードは、会員制ショップの会員証のようなものです。銀行に口座をもつのに似ているので、IDとパスワードのことをアカウントと呼ぶこともあります。アカウントはもともと銀行口座という意味だからです。
会員制ショップの入り口で会員証が確認されるのと同じで、IDとパスワードも、“入り口”にあたるところで確認されます。

ワンポイント-白い小石が会員証だった?

ローマ時代では、特別な催しに参加する切符として小石が使われていたようです。 啓示2章17節には、白い小石が与えられると書いてあります。この白い小石には、個人名も刻まれています。ちょうどそれは、イエス・キリストへの信仰を守り通した人に与えられる会員証のようなものです。

でも、なぜIDとパスワードが必要なのでしょうか。ここから、インターネット上のショップの店主になったつもりで考えてみましょう。
インターネット上のショップは、誰が見に来たかを知りたいものです。理由の1つは、お客に合った商品をお勧めしたいからです。だからといって、毎回お客に個人名を入力してもらうのは大変です。日本語だと「沢田」と「澤田」のようにどちらも使っている人もいます。コンピューターでは1文字でも違うと区別されてしまいます。そういう面倒を避けるためには、IDという8文字程度の会員番号のようなもので扱います。
けれど、IDだけだと本当に本人かどうかわからないので、IDとセットになったパスワードを入力してもらいます。IDとセットになったパスワードの両方が正しくあっていれば、お客を特定することができます。

親切なショップなら、お客1人1人について次のようなデータは記録しておくでしょう。

  • 個人名(送り先宛名)
  • 送り先住所
  • 好きな決済方法
  • 購入履歴

これらのデータは、お客1人1人別々に記録しておきます。1つのIDに1組のデータが結び付けられています。
これらのデータを記録に残しておくと、2度目以降の利用で手間が省けます。そうすれば、使いやすいショップだと思われて、ずっと利用してもらえるようになるでしょう。
購入履歴は、お客が自分の買い物を見返すだけでなく、ショップにとっても大切なものです。それぞれのお客の購入履歴を分析すると、その人の好みがわかります。親切なインターネット上のショップは、お客に合わせて商品の表示の順番を変えます。その人が好むものを優先的に表示すると、売り上げに大きく貢献します。

IDとパスワードが他の人に知られるのは盗みと同じ

IDとパスワードが他の人に知られると何が起きますか。会員制ショップの会員証が盗まれたのと同じになります。いいえ、それ以上ひどいことにもなります。ですから、IDとパスワードが他の人に知られてしまったなら、盗みに遭ったのと同じです。
インターネット上のショップでは、決済方法としてクレジットカードを登録しておくことができますから、あなたのクレジットカードで勝手に買い物をされてしまいます。送り先住所もあなたの家から違う誰かのところに変えられてしまうでしょう。IDとパスワードを盗んだ人は、あなたのクレジットカードで、好きなだけ買い物ができてしまいます。

メールを使う時のIDとパスワードが誰かに知られると、その人があなたになりすまして、あなた宛てのメールを読み取ったり、あなたの知り合いに勝手にメールを送りつけたりされます。あなたは、大切な連絡を受け取れなくなるだけでなく、あなたからと思わせて間違った情報がみんなに送られてしまいます。

現金が盗まれるのも確かに大変ですが、盗まれた現金を犯人が使い切ってしまえばそれ以上悪いことは起こりません。それとは違って、IDとパスワードを他の人に盗まれるのは、もっと大変です。IDとパスワードが盗まれると、ひどいことを次から次へといつまでも起こせるからです。
あなたからIDとパスワードを盗み取ろうと、あの手この手を使ってくる悪い人たちがいます。それだけでなく、盗み取ったIDとパスワードを売り買いする闇の市場もあります。

IDとパスワードを盗まれないようにあなたがすべき3つのこと

IDとパスワードが盗まれると、あなたが困るだけでなく、あなたの周りの人たちも困ってしまいます。ですから、IDとパスワードは盗まれないように守りましょう。あなたがすべきことを3つ考えます。

すべきこと1:“入り口”ごとに違うパスワードにする。

コンピューターには、IDとパスワードが必要な“入り口”がたくさんあります。

ワンポイント-“入り口”にあたるところはどこか?

コンピューターの“入り口”にあたるところはたくさんあります。例えば、次のようなことです。

  • コンピューターの電源を入れた時
  • Wi-Fiにつなぐ時
  • アプリを入手する時
  • アプリを使う時
  • JW.ORGで定期的に寄付する時
  • インターネット上のショップで買い物する時
  • SNSを使う時

“入り口”には、あなたが決めたパスワードをしっかり管理しているセキュリティの厳重なところもあれば、うっかり誰でも見られるようになっているセキュリティの弱いところもあります。全部同じパスワードだとしたら、1か所で盗まれただけで、あなたの使っている全部の“入り口”を開けられてしまうことになります。

最近は、IDとしてメールアドレスを使うことが多いです。そうすると、まったく違う“入り口”なのに、IDは同じメールアドレスになってしまうことがあります。例えば、インターネット上のショップの“入り口”とSNSを使う時の“入り口”で、同じIDを使うことになるかもしれません。どちらも同じパスワードにしておくと、どちらかでIDとパスワードが盗まれると両方の“入り口”を自由に使われることになります。

IDとパスワードを盗んだ人は、そのIDとパスワードの組み合わせを手当たり次第にいろいろな“入り口”で使おうと試してみます。あなたが使っているたくさんある“入り口”でIDとパスワードを同じにしておくと、すべての“入り口”が通り抜けられてしまいます。でも、“入り口”によってパスワードを違うものにしておけば、どこか1つの“入り口”が使われても、そこだけで被害は小さく済みます。

すべきこと2:パスワードにはみんなが思いつくような数字や言葉は使わない。

パスワードは、アルファベットと数字を並べたものが使われます。パスワードを決める時、みんなが簡単に思いつく数字や言葉をそのまま並べてはいけません。

ワンポイント-どんな数字や言葉は思いつく?

例えば、次のような数字や言葉は簡単に思いついてしまうかもしれません。

  • 自分や家族の生年月日
  • 自分や家族のバプテスマの日付
  • 何か資格を取った日
  • 結婚の日付
  • 自動車のナンバー
  • ペットの名前
  • 聖書中の人名や地名
  • 666,1914,607,119-105などの聖書にちなんだ数字

IDとパスワードを盗み取ろうとする手口には、そっくり盗み取る方法と、手当たり次第に数字や言葉を組み合わせて試してみる方法があります。

あなたの近くにいる人なら、あなたや家族の生年月日やペットの名前など、あなたの良く使う数字や言葉を知っているかもしれません。

あなたの良く使う数字や言葉を使いたい時には一工夫しましょう。方法として、大文字と小文字を混ぜることや、文字を置き換えられるかもしれません。

例えば、思い出があってorangepeel(みかんの皮)という単語を使いたいとします。そのまま使うと、あなたの思い出を知った誰かが簡単にパスワードを盗み取るかもしれません。そこで大文字小文字を混ぜでOrAngEpEElにしたり、eを数字の4に置き換えて、orang4p44lにしたりすれば、盗み取られにくくなります。この説明では、単純な置き換えをしましたが、こういう方法をいくつか組み合わせて、思いつかないパスワードにしましょう。

「目ざめよ!」2001年6月22日号31ページは、とても参考になります。

絶対にパスワードにpasswordという言葉をそのまま使わないようにしてください。冗談のようですが、本当に使っている人たちがいるようです。

すべきこと3:パスワードは最低でも年に1回は見直す。

パスワードは、生卵のようなもので、時間が経つとだんだん危なくなります。その間に、どこかであなたのことが覗かれて、パスワードを入力するところが見えてしまったかもしれません。

本当は、年に数回はパスワードを更新してほしいところですが、そうすると面倒くさくなって、passwordやaaabbbcccのような簡単に思いつくパスワードを使いまわすことになってしまいかねません。

そこで、年に1度「パスワードの日」を作って、その日にパスワードを全部見直すようにお勧めします。

銀行口座のパスワードのように、もっと短い日数で変更するように強制されるものもあります。

IDとパスワードから解放される日は来る?

インターネットは、世界中のコンピューター同士がやり取りする方式が決まっているだけなので、個人を区別する仕組みはもともとありません。あなたも、誰かのスマートフォンを借りて動画を見たり、誰かに助けてもらって何かのオンラインの申込書を作ったりしたかもしれません。コンピューターの持ち主かどうかなんて気にされません。でも、インターネット上のショップの店主などの運営側は、誰が使っているかはっきり本人確認したいと思っています。

コンピューター上で本人確認する1つの方法として、IDとパスワードを使っています。でも、IDとパスワードは使うのも少し面倒ですし、盗むのも難しくありません。

そこで、人体にチップを埋め込むことが研究されています。これが実用化されれば、インターネットで人間1人1人が識別できるので、IDとパスワードからすっかり解放されるでしょう。

それでも、チップを埋め込むのは不必要に人体に傷をつけることだと考える人や、そもそもインターネットで個人をはっきり識別されることに恐れを感じる人もいます。

ここで良く考えてみてください。身体を大切にしていても、ピアスを付けるために身体に穴をあける人もいますし、ワクチンを接種してわざわざ抗体を作る人もいます。それに、ペットにチップを埋め込むことは一般化しています。ペットにチップを埋め込むのは虐待でしょうか。チップを埋め込まないで野放しにするほうが虐待です。

IDとパスワードは、いつも間違わないように入力したり、定期的に更新したり、盗まれないようにしたり、本当に面倒くさく感じます。その面倒と、人間にチップを埋め込むことと、どちらが大変かを真剣に比べてみる必要がありそうです。

IDとパスワードからすっかり解放される日はいつでしょうか。

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