インターネットの危険の1つは、悪意のある人たちが本物そっくりに作った偽サイトです。偽サイトは、IDとパスワードなどの情報を盗み出したり、間違ったことを信じ込ませたりするために作られています。
ドメインは、IPアドレスの代わりに、[JW.ORG]のような文字列を使う仕組みです。このドメインの仕組みを知っておくと、偽サイトのワナを避けられます。偽サイトのワナを避けるために、ドメインの仕組みを知っておきましょう。
ドメインの取得は早い者勝ち
ドメインは、お金を払えば誰でも取得できます。あなたの好きな言葉やショップの名前などをドメインにできます。個人事業者も、自分のドメインを持つと、少し信頼してもらえるようになります。
あなたが[WATASHINO-DOMEIN.NET]というドメインを取得したとします。
ワンポイント-ドメインは、大文字小文字の区別はない。
ドメインには、大文字小文字の区別はありません。[watashino-domein.net]も同じものになります。
JW.ORGは、王国会館の看板やディスプレイ表示が大文字なので、[JW.ORG]と書いています。
取得した時から、[WATASHINO-DOMEIN.NET]は世界中であなただけのものになります。世界中の誰も[WATASHINO-DOMEIN.NET]というドメインを取得することはできません。
でも、あなたよりも先に誰かが[WATASHINO-DOMEIN.NET]ドメインを使っているとしたら、あなたは[WATASHINO-DOMEIN.NET]を取得できません。ドメインは、早い者勝ちだからです。
タイミングよくあなたが[WATASHINO-DOMEIN.NET]というドメインを取得できて、あなたのWebサイトを公開したとします。
あなたは記事を見てほしいので[WATASHINO-DOMEIN.NET]をみんなに教えます。世界のどこからでも、[WATASHINO-DOMEIN.NET]ではあなたの公開した記事だけを読めます。他の人が割り込んで[WATASHINO-DOMEIN.NET]に記事を勝手に書くことはできません。
ワンポイント-ドメインさえあればWebサイトが作れる?
ドメインを取得しただけではWebサイトは作れません。
Webサイトを作りたいなら、Webサーバーをレンタルします。Webサーバーをレンタルする時に、ドメインもセットで取得できることがあります。
でも、似ている[WATASHINO-DOMAIN.NET(一文字違い)]や[WATASHINODOMEIN-NET.COM]のようなドメインを誰かが使うことはあります。あなたに関係なく、Webサイトを作るかもしれません。
ドメインの取得は早い者勝ちだと知っていると、どんなふうに役立つ?
ドメインを見れば、公式Webサイトかどうか見分けられます。
会社やショップには公式Webサイトがあり、それぞれドメインがあります。公式Webサイトに見た目がそっくりなWebサイトがあったとしても、ドメインまでは同じにできません。ドメインの取得は早い者勝ちで、世界中で誰も同じドメインは取得できないからです。
JW.ORGは、エホバの証人の組織が取得したものなので、他の人たちはインターネット上にJW.ORGというドメインでWebサイトは作れません。
それで、世界のどこでもJW.ORGの記事は、全部エホバの証人が書いた公式のものだと信じられます。エホバの証人ではない誰かが割り込んでJW.ORGに記事を書くことはできません。
でも、似たような[JWORG.COM]や[JVV.ORG(Wの代わりにVを2つ)]などを誰かが使うことはあります。そのWebサイトがJW.ORGの公式ロゴを勝手に使ったり、エホバの証人のような記事を書いたりしても、エホバの証人の公式Webサイトにはなりません。
ワンポイント-模写コーディングって何?
Webサイトを作るのを仕事にする人がいます。大きな会社のWebサイトはチームで作りますが、中小企業のWebサイトなら、個人のWebデザイナーが作ります。副業でWebデザイナーをする人もいます。
Webデザイナーになろうとする人が、どこかのWebサイトをそっくりまねして同じものを作る練習をすることを模写コーディングといいます。良いWebサイトをまねすると勉強になる、と模写コーディングをやってみるように勧める専門家もいます。
でも、Webサイトをまねして作る練習はしても、画像を勝手に使ったり、プログラムをそっくり写したりするのは、いけないことです。
偽サイトは、悪意のある模写コーディングのようなものです。
ドメインは右から順に見ていくもの
[JW.ORG]のように、ドメインは、ピリオド[.]で区切られたいくつかの文字列からできています。
それぞれの部分には意味があり、右から順に見ていくとドメインを取得している人や組織の性質がわかります。
[JW.ORG]は、[JW]の部分と[ORG]の部分があります。ドメインは、右側から見ていくものなので、まず見るのは[ORG]です。
[ORG]は、非営利団体だけが使えます。お金儲けをしない組織なら[ORG]を使えるので、エホバの証人以外にも[ORG]をドメインに使っている組織はあります。ですから、ついつい[JW.ORG]のことを省略しようとして[ORG]と呼んでしまうことは正しくありません。
[ORG]の他には、[COM]や[NET]や[BIZ]などがあります。これらは、組織や会社だけでなく個人でもお金を払えば取得できます。
次に見るのは[JW]の部分です。この部分は取得するときに自分で決められます。
ワンポイント-JW.ORGのJWって何?
JWは、Jehovah’s Witnesses(エホバの証人)のことです。
以前は、WATCHTOWER.ORGがエホバの証人の公式Webサイトでした。
短ければ覚えやすく、コンピューターに入力するのも楽です。ですから、短いドメインほど早く誰かに取得されてしまいます。[JW.ORG]のような覚えやすいドメインをエホバの証人が取得できたのは、エホバのおかげです。昔は、ドメインの取り合いで裁判沙汰になったこともあるからです。
[JW.ORG]には、さらに左側があることを知っていますか。エホバの証人の公式Webサイトのドメインを省略しないで書くと、[WWW.JW.ORG]になりますから、左側は[WWW]です。
[WWW]は、World Wide Webのことで、世界中に公開しているWebサイトという意味です。[WWW]の部分を省略しても、自動的に付け加えられます。
ワンポイント-WWW.JW.ORGの他には何がある?
JW.ORGには、WWW.JW.ORGの他にもいくつかドメインがあります。
- WOL.JW.ORGは、ものみの塔オンライン・ライブラリーというWebサイト。
- DONATE.JW.ORGは、寄付を受け付けるWebサイト。
- STREAM.JW.ORGは、集会や大会のストリーミング動画を見るためのWebサイト。
ドメインの右側に国名を含めることもある。
ドメインの右側が国名を表していることがあります。日本の文部科学省のWebサイトのドメインは、[MEXT.GO.JP] です。このドメインの一番右の部分は[JP]ですが、これはもちろん日本のことです。
[GO]は、政府機関だけが使えます。ですから、[GO.JP]は、日本の政府機関という意味です。
あなたが今読んでいるこの記事は[MS-SSD.JP]というドメインのWebサイトにあります。[MS-SSD.JP]の[JP]も日本という意味です。
日本以外の国や地域はどうでしょうか。中華人民共和国は[CN]です。台湾は[TW]です。ロシアは[RU]です。
ドメインは右側から見るものだと知っていると、どんなふうに役立つ?
ドメインを右側から見るようになると、Webサイトを開く前に、危険がないかどうかなんとなくわかるようになります。
例えば、誰かから、政府機関の緊急情報のWebサイトを教えてもらったとします。でも、教えてもらったWebサイトのドメインの右側が[GO.JP]ではないとしたら、そのWebサイトを見る前に嘘の情報だと気づけます。
なぜなら。政府機関からの情報は、ドメインの右側が[GO.JP]のはずだからです。ドメインの右側が[COM]や[NET]のWebサイトの記事は、政府機関の公式なものではありません。右側が[COM]や[NET]のようなドメインは、誰でもお金を出せば取得できるからです。
悪意のある偽サイトを作るのは、たいていの国では犯罪になります。ところが、犯罪として扱われなかったり、犯罪としては扱っているけれど、あまりチェックされてなかったりする国もあります。
特に、ドメインの右側が[CN]と[RU]になっているWebサイトには気をつけてください。
[CN]は中華人民共和国、[RU]はロシアで、偽サイトや悪意のあるWebサイトが多く作られているのは、この2つの国だからです。