ある年長の男性は、「自分は、インターネットをしてない」と言います。しかし、文字が拡大できるので、印刷版ではなくJW Libraryを使っています。ある主婦は、テレビでインターネット犯罪のニュースを見て、「やっぱりインターネットは怖い」と思います。でも、LINEのメッセージに返信しようとスマートフォンを操作します。あるエホバの証人の青年は、王国会館のステージ上から「インターネットを誤用しないように」と励まします。誤用すれば、いくつもの深刻な問題が起きるので、この警告は真剣に受け止めなければなりません。
さて、この3人の頭の中で、「インターネット」という語はどのようなイメージなのでしょうか。そして、そのイメージは本当にインターネットのことをきちんと捉えているでしょうか。
ここで、改めてインターネットの正体について考えてみましょう。
インターネットって何?
インターネットという言葉の使われ方には、広い意味と狭い意味があります。
広い意味でのインターネットとは、世界中のコンピューターが同じ方式でやり取りしていることです。インターネットにつながっているコンピューターには、あなたの身の回りにあるPCやスマートフォンやタブレットという種類だけでなく、サーバーという大きなものから、冷蔵庫やテレビに組み込まれている小さいものまで、いろいろなものがあります。
コンピューター同士だけに限らず、相手とやり取りすることを通信(Communication)といいます。手紙は通信物です。人間同士の会話は音声通信ですし、祈りも神と人間との通信です。通信で大切なのは、相手にきちんと届くことと、相手が理解できることです。相手にきちんと届き理解されるには、共通の通信プロトコルが必要です。
ワンポイント-プロトコル(Protocol:プロトコール)とは
プロトコルはもともと民族や国家間の共通の作法のことです。民族によってしぐさやマナーには違いがあり、別の民族には嫌がられるものもあります。創世記43章32節には、エジプト人とヘブライ人は一緒に食事できなかったと述べられています。古代エジプト人にとって、羊を飼うヘブライ人と一緒に食事することは、とても嫌なことだったからです。しかし、現代の国際社会では、食事のマナーなどの小さなことで反感を抱いていては物事が進みません。それで、プロトコルという共通の作法を決めて、それをお互いに守ることで気持ちよくやり取りができるようになっています。
古くから、コンピューター同士がやり取りすると便利になるというのは、みんなわかっていました。でも、仕組みも能力も違うコンピューターをつなぐのは大変です。いろいろな人がいろいろなつなぐ方式を考えて普及させようとしました。自分たちの考えた方式を普及させれば、製品や特許料で莫大な富が築けるからです。それで、いろいろなアイディアや技術によって通信プロトコルがたくさん生み出されました。しかし、世界中のコンピューターが同じ通信プロトコルを使わなければ世界中がつながることはできません。結局のところ、TCP/IPという通信プロトコルが世界中で広く使われるようになりました。このTCP/IPという方式で世界中のコンピューターがやり取りしているのがインターネットです。
広い意味でのインターネットは、エホバの証人の「目ざめよ!」1997年7月22日号に的確に説明されています。
インターネットでできるようになったこと
インターネットは、世界中のコンピューター同士がやりとりしていることだとわかりました。でも、世界中のコンピューター同士がやり取りすると何か良いことがありますか。4つ考えてみましょう。
データ受信-他のコンピューターからデータを受け取る。
自分のコンピューターにないデータを他のコンピューターから受け取ることができます。この使い方で真っ先に思いつくのは、JW.ORGを閲覧することでしょう。それ以外にも、メールを受け取ることや、ビデオ会議システムで相手の音声や映像を受け取ることに使われています。気づきにくいことですが、JW Libraryで、最新ニュースが表示されるのも、出版物が更新されたことを知らせるのも、他のコンピューターからデータを受け取る機能が働いているからです。
データ送信-他のコンピューターにデータを送る。
自分のコンピューターにないデータを受け取るには、どんなデータが欲しいのかリクエストしなければなりません。そのためには、こちらから「何」が欲しいのかを送信する必要があります。
他のコンピューターにデータを送ることは、SNSの投稿や、ビデオ会議システムで自分の音声や映像を流す時にも使われています。
他のコンピューターを遠隔操作する。
もともとコンピューターは、遠隔操作できるように作られています。PCが普及する前は、ビルのようなコンピューターをみんなが順番に使うために遠隔操作していました。今でも、コンピューターの調子が悪い時にサポート担当者が診断や修正をしてくれたり、在宅で会社のコンピューターを操作したりという使い道があります。自分たちで警備員を雇って厳重な設備を持つよりも、専門業者のコンピューターをレンタルして、それを遠隔操作するほうが安上がりだと考える会社や官公庁もあります。
他のコンピューターと計算能力を分け合う。
コンピューターの性能はどんどん良くなりますが、それでも、多くのコンピューターで分散して処理したほうが早くなる計算もあります。
詳しい説明は省きますが、暗号資産(いわゆるビットコインなどの仮想通貨)は、参加しているコンピューターが膨大な計算を行なうことで維持されています。
一部のワクチン開発プロジェクトも、計算能力の提供を求めています。
インターネットで、できてしまうようになったこと
インターネットのおかげで、できるようになったことが増えたので、便利になりました。でもそのせいで、正しいことを行なうのが便利になっただけでなく、悪いことを行なうのも便利になってしまいました。
データ受信-他のコンピューターからデータを受け取る。
自分のコンピューターにないデータを他のコンピューターから受け取るので、JW.ORGのような役立つ情報を見ることもできますが、ニセ情報や心に傷がついてしまう画像やメッセージも受信できるようになってしまいました。
データ送信-他のコンピューターにデータを送る。
自分のコンピューターから他のコンピューターにデータを送れる機能を誤用するとどうなるでしょうか。知らせてはいけない人に秘密の情報を送ってしまうと、自分や他の人を危険にさらします。いつの間にか、データが抜き取られてしまうこともあります。
相手のコンピューターが処理しきれないほどのデータを一方的に送りつけて、相手のコンピューターを麻痺させてしまう攻撃方法もあります。
もちろん、あなた自身が、メールやSNSで暴言を送信すれば、自分ももちろんのこと、家族や神の評判にも傷をつけてしまいます。
他のコンピューターを遠隔操作する。
あなたのコンピューターが知らないうちに遠隔操作されてしまうことがあります。遠隔操作されると、あなたのコンピューターが別のコンピューターを攻撃することに使われます。「踏み台」として使われたのです。
遠隔操作であなたのコンピューターが悪用されると、まず、「踏み台」になってしまったあなたが疑われることになります。やがて事情が明らかになるとしても、マスコミなどはまずあなたを犯人扱いするでしょう。
他のコンピューターと計算能力を分け合う。
暗号資産(いわゆるビットコインなどの仮想通貨)で儲けようとして、計算能力の高いコンピューターでマイニングする人もいます。
ワンポイント-マイニングとは
暗号資産のシステムを維持するために、参加しているコンピューターが計算能力を提供しています。どの程度計算能力を提供できたかで報酬が出ます。まるで、数字という無数にある岩や砂の中から、宝石のような正解を掘り当てるかのようです。それで、採掘を意味するマイニングといいます。
マイニングするには計算能力の高いコンピューターをフル稼働させるので、莫大な電気が必要になります。そのため、一般家庭の電源で行なうと火災の原因になります。
暗号資産を取引しているほとんどの人は、マイニングはしません。宝石や貴金属の取引と同じで、誰かがマイニングした暗号資産を取引しているだけです。
一部のワクチン開発プロジェクトも、計算能力の提供を求めていますが、どの程度役立っているかはよくわかりません。
これらの活動は、聖書の原則に反すると断言はできませんが、のめり込むと危険があります。のめり込むと貪欲が根付き、電気代や高価なコンピューター部品を不確かなことにつぎこむようになるかもしれません。それに、神の王国が病気を根絶するという聖書の希望を薄れさせてしまうでしょう。
インターネットは、世界中のコンピューター同士がやり取りすることです。あなたの身の回りにあるコンピューターもインターネットの一部になっていることでしょう。
インターネットのおかげで、正しいことを行なうのが便利になりましたが、悪いことをするのも便利になりました。
インターネットも道具の1つです。まったく使わないことにする人もいれば、正しい使い方を心がける人もいます。また、道具に振り回されて悪の道を進んでしまう人もいます。あなたは、この道具とどう向き合いますか。
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