前の記事で、コンピューターネットワークの知っておきたいことを思い出せましたか。
いよいよルーターのしていることを考えます。この記事で、ルーターが、LANケーブルがたくさんつながるだけの機器でも、Wi-Fiのアクセスポイントだけでもない、大切なものだとわかるでしょう。
そもそもルーターってどの機器のこと?
今は、1つの機器にいろいろな役割を詰め込んでいるので、どれがルーターなのかわかりにくくなっています。
どうやってインターネットを使えるようにしたかで、どの機器がルーターの役割を持っているかがわかります。あなたの家は、どれに当てはまりますか。自分の事情を考えて、ルーターを見つけてください。
フレッツ光
「〇〇光」という名前の光ファイバーケーブルを引いたなら、それはNTTのフレッツ光です。
フレッツ光なら、ホームゲートウェイ(HGW)という機器が貸し出されているはずです。このホームゲートウェイには、いくつかの役割が詰め込まれていて、役割の1つがルーターです。
それで、フレッツ光を引いてあるなら、ルーターは、ホームゲートウェイのことです。
NURO光
NURO光は、光ファイバーケーブルですが、NTTのフレッツ光ではありません。
NURO光を引いた家のルーターは、ルーターそのものです。
ホームルーターやモバイルルーター
ホームルーターは、光ファイバーケーブルの代わりにモバイルデータ通信を使っています。
ホームルーターには、LANポートが1つだけあります。ネットワークハブを使えば、2つ以上のコンピューターや電気製品をLANケーブルでつなげます。でも、ホームルーターは、コンピューターや電気製品をWi-Fiでつなぐように作られています。
モバイルルーターには、LANポートはありません。コンピューターや電気製品をWi-Fiでつなぎます。
ホームルーターとモバイルルーターは、そのものがルーターです。
ワンポイント-注意!! モデムの話になったら。
モデムは、アナログ回線でどうにかインターネットを使おうとする古い機器です。
悪質な業者は、電話料金を安くすると言って、モデムを送りつけてこようとします。そうなると、せっかくの光ファイバーケーブルは切られてアナログ回線にされてしまいます。
電話料金の話になって、モデムの話になったら、悪質な業者だと思ってください。
スマートフォンだけの人。
あなたの家には、光ファイバーケーブルを引いてないし、ホームルーターやモバイルルーターも使っていないなら、あなたはスマートフォンだけを使っているはずです。
あなたのスマートフォンも、モバイルルーターのような使い方ができます。
ルーターがあなたのためにしていること
ルーターにはディスプレイやキーボードをつなぐことはできませんが、通信のために作られたコンピューターです。
きちんとした通信をするために、ルーターの役割はいろいろあります。その中から、あなたが知っておく3つのことを考えます。
ルーターの役割1:LANを取りまとめる
図01を見てください。家にルーターを取り付けて使い始めると、たいてい図01のようなLANになります。
図01

緑色の線はLANケーブルで、緑色の点線はWi-Fiです。
アクセスポイントとしての役割は、本当はルーターの役割ではありません。でも今は、ルーターにWi-Fiのアクセスポイントの役割が詰め込まれています。
家の中にあるコンピューターや電気製品は、LANケーブルやWi-Fiを使って、ルーターにつなぎます。
でも、ただつながっただけでは通信はできません。ルーターは、つながったコンピューターや電気製品にIPアドレスを割り当てます。IPアドレスを割り当てると、どこの機器とどこの機器がやり取りしたいかがわかります。ルーターがLANにつながるコンピューターや電気製品にIPアドレスを割り当てる機能をDHCPといいます。
図02は、コンピューターや電気製品にIPアドレスが割り当てられた様子です。
図02

192.168.1.1は、人間にとっては中途半端な数字ですが、LANで使っていいプライベートIPアドレスとしてはよく使われる数字です。
図02を見ると、ルーターにも192.168.1.1というIPアドレスが付けられています。そのルーターにつながったコンピューターや電気製品は、192.168.1.までは同じIPアドレスが割り当てられています。これはちょうど、ルーターがリーダーのような役割で、つながったコンピューターや電気製品を同じチームに仲間入りさせるようなものです。
図02では、192.168.1.2から192.168.1.4まで順番に割り当たったように書いてありますが、最後の数値は2から254までのどれかになります。ルーターは、コンピューターや電気製品それぞれに違うIPアドレスを割り当てようとするからです。
ワンポイント-1バイトの数値は、0から255まで使えるはずでは?
1バイトは0から255までの256通りの数値を扱えます。
でも、0と255には特別な意味を与える習わしのようなものがあるので、1から254までを使います。ルーターが192.168.1.1なら、192.168.1.2から192.168.1.254までを割り当てられます。
ルーターの役割2:インターネットとの橋渡し。
LANにつながっただけでは、家の中のコンピューターや電気製品同士としか通信できません。ルーターが割り当てられるのはプライベートIPアドレスで、LANの中でしか通じないからです。
JW.ORGのようなインターネットとつながるにはどうすればいいでしょうか。
ルーターは、LANとインターネットとの橋渡しをしています。この橋渡しの機能をデフォルトゲートウェイといいます。あなたのコンピューターでインターネットが使えるのは、ルーターのデフォルトゲートウェイのおかげです。
ルーターは、インターネットのつながりをたどって、正しい道を探します。例えば、アメリカにあるコンピューターとつながるには、ハワイを通るのがいいのか、インドのほうからがいいのかを決めるようなものです。
LANにつながっているどのコンピューターや電気製品がインターネットとつながろうとしているかもルーターが管理しています。
ルーターは、あなたの家を代表してグローバルIPアドレスを持っていて、インターネットとつながっています。
ルーターは、LANにつながっているコンピューターや電気製品のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換してインターネットとつながれるようにします。
ルーターの役割3:門番
インターネットには、安全な通信だけでなく、危険な通信もあります。人間が見て危険なのではなく、コンピューターにとって危険な通信もあります。例えば、ひっきりなしに通信してきて、こちらのコンピューターや電気製品をまひさせて、そのすきにデータを盗み出そうとしたり、踏み台にして他のコンピューターを攻撃したりします。
ルーターは、門番のような役割があります。これをファイアウォールといいます。
あなたが親になったところをイメージしてください。子供が未成年なら、親が危険から守ります。家の外から危険なものが持ち込まれたり、家の大切なものが持ち出されたりしないようにします。そもそも、危険がありそうなところや人には近づけません。
ルーターのファイアウォールは、親のような役割です。LANにつながっているコンピューターや電気製品が危険な通信をしないようにします。
まとめ
ルーターがあなたのためにしていることを3つ考えました。
まず、LANにつながったコンピューターや電気製品にIPアドレスを割り当てます。これで、LANのコンピューターや電気製品同士が通信できます。
ルーターは、インターネットとの橋渡しもします。インターネットのつながりをたどり、正しい道を通って通信できるようにします。
ルーターには、危険な通信から、LANにつながっているコンピューターや電気製品を守るファイアウォールもあります。