NW-34 その使い方は賢い? あなたのクラウド

NW-34 その使い方は賢い? あなたのクラウド 賢くインターネットを使う

これまで4つの記事で、クラウドについて考えてきました。ここでまとめてみましょう。
頭の中を整理して、賢く便利に使いましょう。そうしないと、あなたや周りの人たちは、使わなくていいことにお金や時間を無駄にしているかもしれません。

クラウドは遠くにある大きいコンピューターのこと

コンピューターの話で出てくるクラウドは、インターネット上のコンピューターのことです。
クラウドは、手元にないし、JW.ORGやメールなどと違っていて、目に見えるものではないので、わかりにくく感じる人もいます。あなたもそう感じますか。

もし、クラウドがわかりにくいと感じたら、どこか遠くにある大きいコンピューターをインターネットで覗き込んでいることをイメージしてください。インターネットなら、世界中どこのコンピューターともやり取りできます。それで、どこか遠くにある大きいコンピューターも覗き込むことができます。
それがイメージできるようになれば、もうクラウドはわかりにくくないはずです。

土台となるイメージができたら、会社や官公庁にとってのクラウドと、わたしたち個人にとってのクラウドの違いも知っておきましょう。

会社や官公庁にとってのクラウドは、クラウドコンピューターそのもののことです。会社や官公庁は、PCよりもずっと大きな性能の高いコンピューターを使います。自分の敷地に大きいコンピューターを設置すると、空調や警備などの設備が必要です。クラウドコンピューターなら専門の業者がやってくれます。
自分の敷地に大きいコンピューターとクラウドコンピューターの両方を組み合わせるのが大切です。

わたしたち個人にとってのクラウドは、たいていクラウドストレージのことです。クラウドストレージは、クラウドコンピューターにある、データを保存する倉庫のようなものです。とても大きいので、みんなで区切って使っています。インターネットでクラウドストレージの入り口に行くと、あなたが誰かを調べられます。あなたのアカウントが正しければ、クラウドストレージのあなたの部屋につながります。

ワンポイント-個人で使えるのはクラウドストレージだけ?

クラウドストレージの他に、個人で使えるクラウドコンピューターの機能は他にないのでしょうか。
ゲームやAIは、手元のコンピューターでもできますが、それなりに性能の高いコンピューターが必要です。そこで、インターネット上の大きいコンピューターでゲームやAIを動かすサービスがあります。
例えば、今のゲームは10万円近いゲーム機や15万円以上のPCがないと、きれいな映像で遊べません。そういうゲーム機やPCは、3年ぐらいで古くなってきて、どんどん作られる新しいゲームをきれいな映像で遊ぶには買い替える必要があります。
インターネット上の大きいコンピューターでゲームをすれば、月額1500円だったとしても、1年18000円で済みます。インターネットにつながるテレビやスマートフォンやタブレットで、きれいな映像のゲームをずっと楽しめます。
AIは、ゲームよりも性能の高いコンピューターがないと使えません。今、みんなが使っているAIは、インターネット上の大きいコンピューターを使っているからです。手元のコンピューターからAIに質問を送ると、大きいコンピューターのAIが動いて回答がきます。
ただし、インターネット上の大きいコンピューターのAIだと、次のような制限があります。

  • 無料プランや安いプランだと、混みあって順番待ちをすることがあります。
  • AIの回答に制限がかかります。
  • あなたのデータがAIでどのように使われるかわかりません。
    例えば、あなたが下書きした文章をAIに清書させる時、あなたの下書きは、後で他のことに使われるかもしれません。

インターネット上の大きいコンピューターではなく、手元に性能の高いコンピューターを持っていると、いつでも自由に安心してAIを使えます。

知らないうちに使っている?

あなたは、この記事を読むまでクラウドという言葉がよくわかっていなかったかもしれません。なんとなく聞いたことのある次の言葉がクラウドとどう結び付くのかもわかっていなかったでしょう。

  • Googleドライブ
  • iCloud
  • OneDrive

この3つは、クラウドストレージの名前です。この他にもたくさんクラウドストレージはありますが、この3つはよく知られています。
そして、あなたはいつの間にかこの3つのうちのどれかをレンタルして使っています。もしかすると、知らないうちに使っていて料金がかかっているかもしれません。なぜそんなことになるのでしょうか。

始まりは、コンピューターを使い始めた時。

あなたがコンピューターを使い始める時、自分の名前を登録したり、メールアドレスを決めたりする大変な作業があったことを覚えていますか。使い始める時にする大変な作業を初期設定といいます。
初期設定の時は、顔認証や指紋認証といった本人確認などいろいろしなければならないことがあって1つ1つの画面の文章をよく考えないかもしれませんが、クラウドストレージをレンタルする設定も含まれています。

Androidの入ったコンピューターを使い始めるようとすると、初期設定でGoogleドライブが使えるように設定されます。Androidは、Googleが作っているからです。
iPadやiPhoneやMacを使い始めようとすると、初期設定でiCloudが使えるように設定されます。iPadやiPhoneやMacはAppleが作っています。iCloudもAppleのものです。
Windowsの入ったコンピューターを使い始めようとすると、初期設定でOneDriveが使えるように設定されます。WindowsもOneDriveもMicrosoftのものだからです。

クラウドストレージは、メールにも使われている。

Androidの初期設定では、Googleドライブが使えるようになるだけでなく、Gmailも使えるように設定されます。GmailもGoogleのものだからです。
iPadやiPhoneやMacの初期設定では、iCloudメールも使えるように設定されます。
Windowsの初期設定では、OneDriveだけでなく、Outlookメールも使えるように設定されます。OutlookメールもMicrosoftのものです。
受信したメールも、送信するメールも、保存するところが必要です。それで、クラウドストレージがメールの保存場所としても使われています。クラウドストレージがメールサーバーとしても使われています。メールサーバーについては[IMAP4?POP3?メールをどこに保存するのが正解?]という記事があります。

クラウドストレージが文書や写真を保存するだけでなく、メールの保存場所にもなっているので、両方のバランスをとらなければなりません。文書や写真をたくさん保存すると、メールを保存する容量が少なくなります。逆に、メールを整理しないで保存し続けると、文書や写真を保存する容量が少なくなります。

ワンポイント-メールアドレスはアカウントのIDにもなっている。

クラウドストレージの入り口では、あなたが誰かアカウントを確認されます。アカウントにはIDとパスワードが必要です。最近はパスワードの代わりになるものもあります。
Androidの初期設定で決めたGmailのメールアドレスは、Googleドライブの入り口のIDになります。
iPadやiPhoneやMacの初期設定で決めたiCloudメールのメールアドレスは、iCloudの入り口のIDになります。
Windowsの初期設定で決めたOutlookメールのメールアドレスは、OneDriveの入り口のIDになります。

いつの間にかクラウドストレージが使われている。

あなたが自分でクラウドストレージを使うには、専用のアプリやWebブラウザーを使います。
でも、専用のアプリやWebブラウザーで使っていないのに、クラウドストレージがいつの間にか使われていることがあります。どうしてそんなことになるのでしょうか。

それは、手元のコンピューターのファイルがクラウドストレージにいつの間にか同期されるからです。
例えば、iPhoneで撮影した写真は、いつの間にかクラウドストレージにも保存されます。そのおかげで、あなたのiPadでも写真が見られます。あなたがiPhoneからiPadに写真を送信したわけではないのに、iPadで写真が見られるのは、いつの間にかiCloudに写真が保存されているからです。

写真だけでなく、文書などなくなっては困るファイルが、いつの間にかクラウドストレージに保存されます。

便利さはワナ?

Androidの入ったコンピューターの初期設定は、GoogleドライブやGmailが使えるように設定されます。
iPadやiPhoneやMacの初期設定では、iCloudやiCloudメールが使えるように設定されます。
Windowsの入ったコンピューターの初期設定では、OneDriveやOutlookメールが使えるように設定されます。

知らないうちに、GoogleドライブかiCloudかOneDriveのどれかを使っていることになります。

もし、新しいコンピューターに買い替えたり、2台目を持ったりする時はどうなるでしょうか。
例えば、Androidを使っていた人は、またAndroidの入ったコンピューターにすると、今まで使っていたアカウントでGoogleドライブやGmailが使えます。初期設定もかなり楽になります。
iPadやiPhoneやMacも、Windowsの入ったコンピューターも、それぞれ今まで使っていたアカウントで、クラウドストレージやメールが使えます。もちろん、初期設定もかなり楽になります。

そうすると、2台目を選ぶ時に、どれを選ぶか、かなり決まってきます。
例えば、Androidを使っていた人が、次はiPadやiPhoneやMacにしようとすると、iCloudのアカウントを作ることになります。初期設定が楽なので、Androidを使っていた人は次もAndroidの入ったコンピューターにしたくなるかもしれません。
2台目を選ぶ時の便利さは、Appleはとても便利です。スマートフォンのiPhoneから始まり、iPadやMacまで同じように使える工夫があります。でも、Appleだけで何でもそろうのは“囲い込み”だという見方もあり、ヨーロッパや日本では規制しようとしています。

ワンポイント-それぞれの入り口のアカウントが大切。

例えば、Androidの入ったコンピューターだとiCloudやOneDriveはぜんぜん使えない、ということはありません。iCloudの入り口で使うアカウントや、OneDriveの入り口で使うアカウントを使えば、Androidの入ったコンピューターでも、iCloudやOneDriveは使えます。
同じように、それぞれの入り口のアカウントを使えば、iPadやiPhoneやMacでGoogleドライブやOneDriveが使えますし、WindowsでGoogleドライブやiCloudが使えます。

初期設定でクラウドストレージが使えるようになるのは便利ですが、気になることもあります。
クラウドストレージの無料で使える容量は少なくて、すぐにいっぱいになってしまいます。クラウドストレージの容量は手元のコンピューターのローカルストレージとは別の容量です。今のコンピューターのローカルストレージの容量はたいてい余るほど用意されています。もしローカルストレージの容量が足りなくなっても、USBメモリなどで簡単に増やせます。それと比べられないほど、初期設定で使えるようになるクラウドストレージの容量は少なくて、写真や動画を気軽に撮影していくと、あっという間に足りなくなります。
クラウドストレージの容量を増やすには課金するしかありません。
すぐに課金させるために初期設定でクラウドストレージが使えるようにしている、とも考えられます。

でも、本当にクラウドストレージの容量のために課金するしかないのでしょうか。クラウドストレージ保存されているものを自分で管理すればクラウドストレージの容量を節約できます。写真や動画は本当に思い出になるものだけを残して、後はクラウドストレージから消して、自分でUSBメモリなどに保存できます。初期設定のままだと何でもクラウドストレージに同期されることになっていますが、よく考えると、そこまで必要ではないものもあります。

クラウドストレージの中身を人に見せたい時

あなたにレンタルされているクラウドストレージは、あなただけがファイルを保存したり整理したりできます。
もし、誰かに見せたいファイルやフォルダーがある時はどうすればいいでしょうか。
誰かに見せて共有したいファイルやフォルダーがあるなら、共有に設定できます。この共有機能は、あなたの部屋に“窓”を作るようなものです。もちろん、クラウドストレージの入り口からあなたの部屋に入れるのはあなただけです。でも、あなたが共有機能を使って部屋に“窓”を作れば、クラウドストレージにあるファイルやフォルダーのうち、あなたが見せたいものだけを見せられます。

あなたが共有機能を使って“窓”を作ると、URLができます。そのURLを見せたい人にメールやLINEで教えます。

これまであなたは、誰かに見せたい文書や写真があると、メールに添付して送っていたかもしれません。ファイルが添付されたメールは、容量が大きくなります。送信者のあなたも受信者もストレージ容量が必要になります。みんなクラウドストレージの容量を何とか節約しようと考えています。それだけでなく、通信量もかかります。モバイルデータ通信を使っている人は通信量で料金が決まります。

それに、ファイルを書き換えた時は、書き直したファイルをもう一度添付して送りなおさなければなりません。そうなるとまたストレージ容量と通信量がかかります。

あなたが、ファイルをメールに添付するのをやめて、共有機能を使うと、URLを送るだけなので送信者のあなたも受信者も楽になります。
ファイルを書き換えても共有のURLは変わりません。

あなたも、クラウドは手元にないし、JW.ORGやメールなどと違っていて、目に見えるものではないので、わかりにくいと感じていたかもしれません。
これからは、クラウドがわかりにくいと感じたら、どこか遠くにある大きいコンピューターをインターネットで覗き込んでいることをイメージしてください。

あなたが、わかっていても、わかりにくく感じていても、あなたはもうクラウドを使っています。
もう使っているなら、賢く便利な使い方をしましょう。

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