NW-33 知ってる? すぐ使いたいクラウドストレージの便利な仕組み

NW-33 知ってる? すぐ使いたいクラウドストレージの便利な仕組み 賢くインターネットを使う

昔は、デジタルカメラで撮影した写真を印刷してくれる店があちこちにありました。写っている全員に配るので、それなりにお金がかかりました。お金がかかるのは、自宅のプリンターで印刷できるようになっても同じです。
今は、スマートフォンで撮影して、その場で写った人に送信します。
でも、その場にいない人には、どうすれば見せられますか。

クラウドストレージについて知っていること

クラウドストレージは、インターネット上にあるデータの保存場所のことです。

ワンポイント-ファイルってあのファイル?

コンピューターの話で出てくるファイルという言葉はデータのことです。コンピューターの記録しているデータをファイルと呼びます。あなたが撮影した写真や動画もコンピューターにはファイルとして記録してあります。
コンピューターのファイルについては、[物忘れがひどいコンピューターの忘れない仕組み]という記事があります。

クラウドストレージを使うには、専用のアプリかWebブラウザーを使います。専用のアプリやWebブラウザーを使って自分でファイルをクラウドストレージに保存しないとしても、いつの間にかファイルや設定がクラウドストレージに同期されます。

ワンポイント-ダウンロードとアップロード。

インターネット上のサーバーやクラウドコンピューターから、手元のコンピューターにファイルを取り込むことをダウンロードといいます。ダウンロードは、インターネット上のコンピューターのファイルを手元のコンピューターにコピーすることです。
手元のコンピューターのファイルをインターネット上のコンピューターに保存することをアップロードといいます。アップロードは、手元のコンピューターのファイルをインターネット上のコンピューターにコピーすることです。

ローカルコンピューターからインターネット上のコンピューターにファイルを送ることをアップロードといい、インターネット上のコンピューターからローカルコンピューターにファイルをコピーすることをダウンロードという。

コンピューターのデータのコピーは、印刷のことではなく、データを複製することです。データのコピーについては、[知っておきたいコンピューターの中と現実世界の違い]という記事があります。

ダウンロードもアップロードも、インターネット上のコンピューターとのやり取りですから、通信容量を使います。
くだけた言い方では、ダウンロードのことを「落とす」といい、アップロードのことを「アップする」「上げる」といいます。

他人が入り込むことはない

インターネット上にあるクラウドストレージの入り口では、サインインする必要があります。手元のコンピューターが自動的にサインインしてくれることもあります。サインインはあなたが誰かを調べることで、あなたが誰だかわかると、クラウドストレージのあなたの“部屋”につながります。それで、あなたの“部屋”には、誰かが勝手に入ることはありません。

ワンポイント-あなたの部屋に入るのは本当にあなただけ??

クラウドストレージの業者は、クラウドストレージに保存されたものを全部調べています。調べることを検閲といいます。
クラウドストレージに検閲がなかったならどうなるでしょうか。もしも、児童ポルノなどの悪いデータがクラウドストレージに保存されていると、クラウドストレージの業者も責任を取らなければなりません。ですから、クラウドストレージの業者は検閲して、悪いデータが保存されていないかを調べています。悪いデータが見つかると、悪いデータを保存している人に警告したり、その人がクラウドストレージを使えなくしたりします。
でも、クラウドストレージにはとてもたくさんのデータがあるので、人間だけでは検閲しきれません。それで、検閲にはAIが使われているようです。

クラウドストレージのデータを他の人に見せたい

あなたがクラウドストレージに保存されたものを他の人に見せたい時はどうしますか。メールか、LINEなどのSNSで送り付けるやり方を思いつくかもしれません。でも、クラウドストレージにはもっと便利な仕組みがあります。

クラウドストレージに保存されたものを他の人に見せるには、共有という仕組みを使うと便利です。あなたが、これは誰かに見せたいと思うファイルを[共有]にすると、他の人もそのファイルを見られるようになります。

ワンポイント-共有する側と共有してもらう側。

クラウドストレージの共有は、あなたの“部屋”に“窓”を作るようなものです。その“窓”は部屋の一部しか見えません。
あなたの“部屋”に“窓”を作るのはあなたです。同じように、あなたが見せたいものだけを[共有]にします。他のものは見えません。
あなたの“部屋”に“窓”を作っても、あなたが知らせなければ誰かが中を見ることはできません。見せたい相手にだけ“窓”があることを教えます。
このように、クラウドストレージの共有には、共有する側と共有してもらう側があります。共有する側は、“窓”を作る人のことです。共有してもらう側は、“窓”があることを教えてもらって、中を見る人のことです。

例えば、仲間と楽しい思い出の写真を[共有]に設定すると、仲間は、あなたのクラウドストレージにあるその写真を見られるようになります。
共有したい写真がたくさんあるなら、1枚ずつ[共有]に設定するよりも、フォルダーを作って共有したほうが便利でしょう。フォルダーは、引き出しのようなもので、たくさんのファイルを整理するための仕組みです。見せたい写真を1つのフォルダーにまとめて、そのフォルダーを[共有]に設定すると、たくさんの写真を一度に共有できます。

知っておきたいクラウドストレージの共有のあれこれ

クラウドストレージの共有の仕組みを正しく便利に使うために知っておきたいことがあります。

閲覧と編集可能というモードがある。

クラウドストレージの共有には、見せるだけのモードと、書き換えもできるモードがあります。呼び方が少し違うこともありますが、見るだけのモードを[閲覧]モードといい、書き換えもできるモードを[編集可能]モードといいます。
[閲覧]モードでは、共有してもらう側は見ることしかできません。[編集可能]モードでは、共有してもらう側も書き換えられます。

写真を見せたいなら、[閲覧]モードで共有します。たくさんの写真を保存したフォルダーを共有する時も、フォルダーを[閲覧]モードにしておくのが良いでしょう。
もしも、写真を保存したフォルダーを[編集可能]モードで共有してしまうと、そのフォルダーの中の写真が消されたり、別の写真を勝手にアップロードされたりするかもしれません。そういうことを楽しむのもいいですが、きちんと管理しておかなければなりません。誰かがあなたのクラウドストレージの[共有]フォルダーに悪いものをアップロードしたら、あなたが責任を問われます。

[共有]は、公開ではない。

Webページの記事やSNSの発信は、アップロードしたら、誰でも見られるように公開されます。
クラウドストレージの[共有]は、Webページの記事やSNSの発信と違って、誰でも見られるように公開されるわけではありません。

あなたがクラウドストレージのファイルやフォルダーを[共有]にすると、ファイルやフォルダーがインターネット上のどこにあるかが書いてあるURLが作られます。そのURLを知っている人だけが[共有]のファイルやフォルダーを見られます。
あなたがメールやLINEで共有のURLを知らせた人だけがファイルやフォルダーを見られます。
URLについては[URLは宝の地図]という記事があります。

念のため、共有するファイルやフォルダーにパスワードをかけることもできます。[共有]したものにパスワードをかけると、URLを知られてもパスワードを知られなければ、ファイルやフォルダーの内容は見られません。

ある日時までしか見られなくすることもできます。

ワンポイント-[共有]したファイルのURLが公開されると大変なことに。

もしも、[共有]したファイルのURLが公開されてしまうとどうなるでしょうか。あなたが知らない人にまで[共有]にしたファイルを見られてしまいます。
2020年からのパンデミックでエホバの証人の王国会館も使えなくなりました。それで、多くの会衆が王国会館の掲示板の書類をデジタル化して、Googleドライブなどのクラウドストレージに保存して、その王国会館を使っている仲間にだけ共有しました。
ところが、どういうわけか共有のURLを公開してしまった会衆があちこちありました。仲間1人1人に共有のURLを知らせるだけなら良かったのに、良く考えないで、誰でも見られるSNSなどで発信してしまったのかもしれません。しかも、パスワードもかけられてなくて、有効期限も決められていません。
これは、とても危険なことです。デジタル化して[共有]にした書類には、グループの名簿や小さい子供の名前も入っている割り当て表などがあったからです。個人の情報がたくさん書いてある書類が、知らない人も見られるようになったままでした。
確かにパンデミック中は、クラウドストレージの[共有]を使って掲示板の代わりにするしかありませんでしたが、パスワードをかけたり、見られる期間を短く区切ったりして安全に気を付けるべきでした。

便利!! クラウドストレージの共有

クラウドストレージの共有の仕組みを使うと、共有する側にも共有してもらう側にも便利なところがあります。

共有の仕組みを使うと、メールの通信容量を少なくできる。

メールで写真を送りたい時、たいていは添付します。そうすると、1通当たりのメールは、文字だけのメールと比べてとても大きな容量になります。大きな容量のメールは、送信する人も受信する人も通信容量をたくさん使います。それだけでなく、メールを送受信するサーバーのストレージ容量もたくさん使います。

写真をクラウドストレージで共有すると、共有のURLが作られます。あなたは、メールにこの共有のURLを書いて送信するだけです。共有してもらう側は、メールで教えてもらったURLで写真を見られます。
共有のURLは、写真1枚の容量よりもずっと小さなものですから、通信容量も、メールを送受信するサーバーのストレージ容量もそんなに使いません。

いつでも新しい内容を見せられる。

[共有]は、写真だけではありません。例えば、あなたの1か月の予定表を仲間に伝えるとします。
作った予定表を仲間にメールで送る様子が図01です。

図01

あなたも、図01の左側のように予定表をメールに添付して送っていたかもしれません。でも、右側のように、予定表を修正したら、また添付して送らなければなりません。そうすると、受け取った人のところには古い予定表と修正された新しい予定表の両方があり、図01の右下のように、どちらが新しい予定表なのかわからなくなる人もいます。

クラウドストレージの[共有]を使うと、いつでも新しい予定表が見られます。
まずあなたは予定表をクラウドストレージに作成します。修正する時は、この予定表を書き換えます。
図02のように、予定表を[共有]にして、そのURLを仲間にメールで知らせます。

図02

共有してもらった側は、URLで予定表が見られます。あなたが予定表を修正してもURLは変わりませんから、いつも新しい予定表を見られます。ただし、あなたは予定表を修正したら「修正しました」と知らせるのが良いでしょう。

チームで作業できる。

クラウドストレージの共有の仕組みを使うと、チームで作業できます。
あなただけがファイルを作成したり修正したりするのではなく、何人かでファイルを作成したり修正したりすることがあります。

クラウドストレージの共有の仕組みを使わないでやろうとするとどうなるでしょうか。
誰かが作成したファイルがメールに添付されて送られてきます。あなたが修正したら、そのファイルを添付してチームメンバーにメールします。チームメンバーの誰かが別の修正をすると、それがメールに添付されて送られてきます。だんだんと、どれが新しい修正かわからなくなってきます。

クラウドストレージの共有の仕組みを使うと、ファイルは一つのところにあるので、チームはいつも新しい内容を見ることができます。

まとめ

クラウドストレージの共有の仕組みを使うとどんな便利さがありますか。

  • 写真などのファイルをメールで送る時に、添付するよりも、通信容量やメールサーバーのストレージ容量を小さくできる。
  • ファイルを修正してもメールで何度も送りなおさなくていい。いつでも、新しい内容が見られる。
  • チームで作業しやすい。チームメンバーそれぞれが修正できる。

このように、共有の仕組みを使えるようになると、クラウドストレージは、あなただけではなくあなたの友達や周りの人にも役立ちます。

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